(09年10月号掲載) 障害者自立支援法廃止をマニフェストに明記した民主党を中心とする連立内閣が発足。長妻昭厚生労働相は9月19日、同法の廃止を明言、廃止後の仕組みづくりに入ることを表明した。 多くの障がい者、施設関係者が求める同法の廃止が現実のものとなってきた。 「この5年間の関係者の努力の成果が実ったものと思います。ただ、今後の道筋やどんな制度になるのかなど具体的なものが見えていないので、手放しでは喜べません」というのは、田川市の知的障がい者通所施設「第2つくしの里」施設長で「障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす福岡の会」事務局の赤松英知さん。 利用者に1割の自己負担を求める障害者自立支援法には成立前から反対の声が上がり、06年4月の施行後は障がい者や施設の窮状が現実化、そのため同法の廃止を求め、08年10月には全国8つの地裁に30人(現在63人)の障がい者が原告となって、同法の憲法違反訴訟を起こすに至った。 その訴訟も新政権発足後、大きな変化が起きている。発足後、初めてとなった9月24日の広島地裁の口頭弁論で国は「自立支援法を廃止して、新しい制度を作る。そのために裁判進行を3カ月ほど猶予してほしい」と申し出た。 民主党のマニフェストでは「障害者自立支援法を廃止し、新たに障がい者総合福祉法を制定」するとし、内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置、同本部には障がい当事者、有識者を含む委員会を設け、政策立案段階から障がい当事者が参画するようにする、と書いている。 「私たちがまず求めたいのは、法律や政策の策定過程に当事者の参画を確保することです。自立支援法は当事者をそっちのけにして官僚が作った審議会の、全くの机上のプランでした。新しい制度は、広く障がい者の実態を調査して、当事者の意見を取り入れたものでなくてはなりません」と赤松さんは訴える。 全国の施設関係者の中には「現在の制度がやっと定着してきたのに、これをまた変えて混乱を引き起こすようなことはやめてほしい」という意見もある。 赤松さんは「この3年半、複雑な制度のうえに修正に継ぐ修正で、施設関係者は振り回されてきました。そのため、もういい加減にしてくれという意見も分からないではありませんが、誤った制度の枠組みは正されなくてはなりません。新しい制度はシンプルで誰にでも分かりやすいものであるべきです」と言う。 全国の障がい者団体などが集まった日本障害者協議会は9月30日、関係者の声を集約して「障害者自立支援法の廃止とこれに伴う新法制定に関する要望書」を鳩山首相に提出した。その中では特に、10月下旬に予定される臨時国会で改めて自立支援法の廃止を宣言し、障害者総合福祉法(仮称)の基本視点とスケジュールの明示を求めている。 「ここからがスタートです。いよいよ活動を盛り上げていかなくては」と赤松さん。10月29日(木)午前11時から福岡市・天神の警固公園で「自立支援法廃止・県民集会」が開催される。 【勝利をめざす福岡の会】
TEL&FAX 092-872-8930
障害者自立支援法が廃止へ 課題は後の仕組みづくり [2009年10月30日14:14更新]
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