福岡市長選 問題抱える各陣営(2)民主の推薦問題 尾を引く現職 [2010年10月4日13:14更新]

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(10年9月号掲載)

政策協定締結後の吉田宏市長(右、9月11日)これまでに市長選への出馬を表明しているのは現職の吉田宏市長、元佐賀市長の木下敏之氏、前市教育長の植木とみ子氏、西福岡・糸島民主商工会事務局長の有馬精一氏、元福岡市議の荒木龍昇氏、塾講師の飯野健二氏、そして高島宗一郎氏。現段階ではこの7人による争いとなる見通しだ。 

「その中でも知名度や経歴、期待できる支援態勢などを考慮すると、とりあえず吉田、高島、木下、植木の4氏が『Aクラス』と見るべきでしょう。少なくとも前半戦は事実上、この4人の争いと言っていい」。あるマスコミ記者はこう分析する。

「とはいえ、(前回記事の高島氏をはじめ)どの陣営も問題を抱えており、今後どうなるのかまったく予測がつかない」 



 

まず現職の吉田市長。7月の参院選直後、木下氏が市長選に出馬する意向を固め、民主に推薦願を出す方針であることが地元紙によって報じられた。

これを受けた吉田氏は同月末、同党に推薦願を提出したが、その可否をめぐって吉田氏、そして現職支持を決めた市議団に対し一部の国会議員や県議が猛反発。結論は先送りされ、推薦決定は8月末にずれ込んだ。 

吉田市長と民主県連がようやく政策協定を結んだのは9月11日。吉田氏は「県連とは手と手を携えてしっかりと戦っていきたい」と述べ(写真)、県連幹部も「一枚岩で選挙戦に臨む」と強調する。

だがある民主国会議員は「それは表向き。今回の推薦決定は福岡市議団、すなわち江藤博美市議のごり押しが通った形で、現職支持派と反現職派の対立解消は不可能。多くの国会議員や県議は完全に引いてしまっているのが実態だ」と話す。

さらに、通常は現職を推すことが多い地元経済界も、自民推薦の高島氏や元市幹部の植木氏に相当数流れるとみられ、「分裂状態」となるのは避けられそうにない。

いまだ政党推薦得られない2陣営

一時は有力な対抗馬と目されていた木下、植木両氏。だがこれまでのところ、2人とも政党推薦は得られていない。

木下氏は先述の通り民主に推薦願を出したものの、先に現職推薦が決定したために事実上の「門前払い」。また植木氏も自公など保守系3会派の推薦・支持を得られなかった。

「政党の支援を受けられないのは活動資金や運動員などの面でかなり厳しく、何らかの対策が必要となってくる。特に木下氏は佐賀出身で知名度が低いだけに苦しいのでは」(前出マスコミ記者)。

 

ただ、参院選で健闘したみんなの党がいまだに態度を明確にしておらず、同党の動向が選挙戦に大きな影響を与えるかもしれない。 

いずれにしても、前回の6人を上回る史上最多の候補者が激しい戦いを繰り広げることになりそうな福岡市長選。今後、どのような展開を見せるのだろうか。