福岡市長選 総括(1)「公約を軽んじた」現職にNO [2010年12月6日11:23更新]

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(10年11月号掲載)

敗戦の弁を述べる吉田宏市長戦後最多となる8人が立候補、選挙戦最終盤には元市幹部の植木とみ子氏が突然、撤退を表明するなど、異例ずくめとなった福岡市長選は、九州最年少市長の誕生で幕を閉じた。

06年の市長選で現職を破り初当選した吉田宏氏。今回は逆の立場となり、市民から「NO」を突き付けられた形となった。

マスコミは中国漁船衝突事件といった外交問題などで菅内閣への批判が高まった状況を敗因の1つに挙げる。確かに影響はあっただろうが、あくまで「最後のだめ押し」にすぎないと本紙は考える。 



敗北の最大の原因は何か。それは、吉田氏が公約を軽んじたと市民に受け止められたこと。これに尽きると言ってよかろう。

 

前回敗れた山崎広太郎・元市長が市民の批判を浴びたのは、こども病院移転問題や強引な五輪招致運動に象徴される「市民不在の市政」だったからだ。

特定の業界・企業や銀行団におもねり、しわ寄せを市民に押し付けるかのような山崎市政。「市政を市民の手に取り戻そう」と訴えて山崎氏への反発の受け皿となり、民主への追い風にも乗って当選を果たしたのが吉田氏だった。 

だがこの4年間、吉田市政はどうだったか。何を成しとげたのか。

「市民への情報公開が足りない」「市民の目線で・・」。高島氏が選挙戦で訴えた内容は、前回「(市民の声を)聞きたかけん」とのキャッチフレーズで「市民本位の市政を」と訴えた吉田氏と本質的に同じではないのか。

4年前に自らが掲げたことをそのまま対立候補が訴えて支持を得る。このことが示すのは何なのか、あらためて述べるまでもあるまい。

(続く)