高島市政の新副市長(1)人選”蚊帳の外” 自民市議団に不満 [2011年7月7日10:58更新]

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(11年6月号掲載)

福岡市立こども病院(中央区唐人町)福岡市立こども病院(写真)を従来通り人工島に移転することを決定した高島宗一郎市長。最初の懸案事項に決着が付き、独自色を打ち出していくのはまさにこれから。

ところが、4月に就任した新副市長の人事をめぐり、市長に対して与党・自民党市議団内で不満が高まっているというのだ。

副市長の1人は「麻生太郎元総理に近いN県議が推した」との情報がある一方で、有力市議らはすべて「副市長の人選については事前に相談もなく、まったく知らなかった」

このままでは「自分たちをないがしろにしているのでは」という市議団の不満が表面化する恐れも。新体制がスタートした高島市政だが、順風満帆とはいかないようだ。   



 

人工島への移転決定は高島宗一郎市長が5月24日、記者会見で正式発表した。本紙は「計画撤回は極めて難しい」とする一方で市長の“英断”に期待したが結局、市長は「愚か者」にはなれなかった。 

広い敷地が確保でき、開院までの期間が短いことが決め手となったが、この理屈でいけば他に適地があっても、その入手や施設の設計などに一定の時間が必要である以上、すでに整備作業に着手した人工島を上回ることは出来ない。

これこそがまさに、いったんスタートした施策を変更する時に大きな障害となる「既成事実の重み」である。 

患者家族らからは批判の声が出ているが、元を正せばこれは2人の元市長時代からの問題。4月からは副市長3人が就任、「高島色」を出していくのはこれからと言える。

自民市議団との溝  

ところがこの副市長人事をめぐり、市長を擁立、支援した自民市議団との間に溝が生じている。 

3人のうち1人は県警OBの大野敏久氏。この人選についてある有力市議は苦々しげにこう語る。「北九州市選出のN県議が推したようだ」

同県議は麻生元総理の番頭格を自認。市長選では連日、高島氏の選挙事務所に詰め「なぜよそ者が福岡で大きな顔をしているのか」と地元市議の反発を買った人物である。 

自民有力市議の多くは副市長の人選について「まったく知らなかった」「相談などは一切なかった」と口をそろえる。副市長人事は市長の専権事項。たとえ自分を擁立した市議団であっても事前に相談したり意見を聞く必要はない。とはいえ、地元市議団を蚊帳の外に置いておきながら、一方でN県議側の要請を受け入れていたとすれば・・。 

ベテラン元市議は「県警OBはすでに市役所で採用しており、従来の2人体制から増やしてまで副市長として迎え入れる必要があるのか」と疑問を投げ掛け、有力市議は「アナウンサー時代のスキャンダルが発覚しそうになった時の『処理係』としてではないか」と揶揄する。

自民市議団内で市長への不満が高まっているのは事実であり、「いずれ表面化するのは間違いない」との声も漏れる。

(続く)