志賀商工会で発覚の横領疑惑(2)幹部に不信感 脱会者も [2011年8月11日13:09更新]

タグで検索→ |

noimage

(11年7月号掲載)

志賀商工会館(東区西戸崎)「今回の横領は通帳や書類の改ざんなど非常に手が込んでいる。2人が関与していると考えるのが自然だが、民事訴訟や刑事告訴の対象になったのはなぜか1人。女性職員が裁判で姿勢を転じたのも、このことが関係しているのでは」(前出商工会関係者)。

また、ある地元住民は「幹部らは以前、この男性職員と一緒に何度も韓国旅行へ行っていた。何か“痛いところ”でも握られているのではないか」と疑念を口にする。



別の商工会関係者は「なぜ最初に民事で訴え、後から刑事告訴したのか。順番が逆ではないか。おかげでいまだに詳細がまったく分からず、会員に説明がつかない」と不満を漏らす。「穏便に済ませようとしたのだろうが逆にこじれ、関係者の不信を招いてしまった」 

ある会員は「数年前にも同じような不祥事があったが、職員をかばってうやむやのうちに終わってしまった。実は志賀商工会では、歴代会長がちょくちょく金をつまんでいた。あの時が会の体質を是正するいいタイミングだったのに毅然とした対応を取らなかった。それがこのザマだ」と怒りをぶちまける。 

「今度ばかりは、さすがに呆れた」「こんな商工会など必要ない」と脱会した会員も。一方、同会では疑惑発覚後、理事手当や出張費などが削減され、活動に影響が出ているという。 

求められるリーダーの刷新  

商工会は特別認可法人であり極めて公共性が高い。こうした不祥事の際には

(1)事実関係の解明

(2)責任の所在の明確化

(3)会員や関係者に対する幹部からの十分な説明

-などが求められる。だが最初に対応を誤ったために現在にいたるまで軌道修正が出来ないでいる、これが志賀商工会の現状と言ってよかろう。 

本紙は07年、福岡西方沖地震時の義援金をめぐる問題で志賀地区を取材した。その際、地縁血縁や体面を重んじる土地柄、非常に閉鎖的な「住民の体質」を痛感した。今回の騒動の根底にもそんな古い体質が見え隠れする。このことは若い世代の会員や住民も十分認識しているはずだ。 

仮に会長ら幹部が最終的に弁済したとしても、それでは根本的な解決にはなるまい。県商工会連合会や県担当部局にも責任があるはずだし、当事者である職員らの責任が問われず事実関係すらあやふやであれば、会員が納得しないだろう。 

いずれにしても、公共の意識が低い幹部らが、結果的に商工会への信頼を失墜させたのは間違いない。事態収拾の後には地域のまとめ役、リーダーを刷新するべきではなかろうか。 

取材に対し志賀商工会は「担当者が不在」。また県商工会連合会は「現在係争中につき、コメントは差し控えたい」と話している。