「県の事業」と前原市長 市議ら「疑惑深まった」 RP問題で [2008年7月24日12:31更新]

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(08年7月号掲載)

前原市役所これまで本紙が報じてきた前原リサーチパーク用地をめぐる問題は、地元紙などマスコミも取上げ、県民の関心を呼ぶこととなった。

6月には県議会のほか前原市議会でも追及された(一部本紙HP既報)が、松本嶺男・前原市長は質問に対し、肝心な点については「県の事業であり、答える立ち場にない」と一貫して"逃げの姿勢"。関係者からは「議会での答弁を聞く限り、土地交換の経緯に関する疑惑はさらに深まった」との声も。

一方、「今回の大掛かりな『絵』を描いたのは知事側近」との指摘が、一部マスコミから上がっている。 



市議の追及に正面から答えず 前原市長

6月12、13日の前原市議会。リサーチパーク問題に関する質疑が行われたこの日の傍聴席は多くの市民であふれ、問題に対する関心の高さをうかがわせた。

まず北畠猛市議(無所属)が「土地交換の契約はいつ、だれが行なったのか」などと質問。取引当時、県の担当部長だった松本市長は「明白に県の事業」とした上で「県が進めていることであり、答える立ち場にない」と答えた。

また北畠市議は「事業は県、前原市、民間業者の共同事業ではないか」と指摘。松本市長はこれを否定し、「地元としてお手伝いするのは当然」と述べた。 

一方、伊藤千代子市議(共産)は「責任を感じていないのか」と質したが、松本市長は「県庁にいた当時は確かに事業を推進したが、すべて後任に引き継いでおり県が説明すべきだ」と答えた。「市長が疑惑解明のキーパーソンだから聞いているんです」との追及にも「私は逃げているわけではない。答える立場にないと言っているだけ」と応じた。

 北畠市議は「松本市長は、県の責任にして正面から答えない。誠実な対応とは言えず、疑惑はさらに深まったと思う」と、執行部に対する不信感を募らせた。

 「3者で行う」 記録文書に明記

「県の事業」という松本市長だが、本紙が入手した資料などにははっきりと県・前原市の共同事業であることが記されている。

 

前原IC付近土地利用に関する会議」(03年6月11日、県・前原市など)

前原市 県と前原市で一緒に学研都市構想を実現し、学研都市とは何かを目に見える形にしていきたいのでご協力お願いしたい。

 「前原IC地区事業の今後の進め方について」(05年3月25日、県・前原市・S社)

前原市 (周辺の土地取得について=本紙注)市も交渉するが、責任を持つというのはもっと後の話。3者(県・前原市・S社=注)でこの事業を行うのが目的。(中略)4月初めに(中略)3者で協議することとしたい。  

 

今さら「事業主体は県だから前原市は関係ない」とされても言い訳としか受け取れない。市長は県の担当部長としてS社幹部と直接やり取りしていた。市議からS社との関係に関して問われるのは当然である。

まず等価交換ありき 県条例との整合性は?

今回、あらためて浮き彫りとなった等価交換の問題点。実は、S社所有地との等価交換はごく初期の段階から決まっていた。県条例では県有地の等価交換について「公用または公共用」とその目的を定めている。だが計画では当初、取得した用地をどう利用するのか具体的に決まっていたわけではなかった。

 

「S社との交渉に係る管財課協議」 (04年9月8日)

同課課長補佐 「公用又は公共用・・」と条例で謳っているが、規定している以上いかんともしがたい。ただ、県が学術研究都市の推進なり施策のために用地を取得する、そのときに金の代わりに土地を用意し交換と言う手法をとるというのであれば条例上問題ない。

同課企画主幹 一部民間の研究所あたりも入ってくるが。(中略)その場合公用、公共用といえるか心配。  

 

土地の用途が具体的に決まっていないのにまず「等価交換という手法」を先に決め、それが問題となるかどうかを後から協議するのはいかにも不自然だ。

土地を買い取るという選択肢もあるはずなのに、これについて検討された跡はない。 等価交換は議会のチェックを受けない。S社・県・前原市の親密な関係(本紙6月号既報)を合わせると、何らかの理由でこの手法を取る必要があった―と考えざるをえない。こうした点について、議会における当局からの明確な答えは一切なかった。 

スキーム描いた? 知事側近のX氏

 

福岡県庁「県は『財政的余裕がない』ことを理由に等価交換したことになってますが、もちろん真っ赤なウソ。福岡県たるもの必要であれば、10億円前後の金を出せないはずはありません」。こう話すのはある大手マスコミ記者だ。「等価交換を利用してS社を救済するため、県の持っている数十カ所の未利用地から好きな土地を選ばせたのは明白ですよ」

ではこの大がかりのスキームを描いたのは誰なのか。この記者は「すべてを画策したのは知事側近のX氏です」と名指しした。「X氏は企画振興部出身で松本市長の先輩。市長ですらも彼の手足となって動いた立場、と言えるかもしれません」

複数の県関係者によると、問題が取りざたされるようになって以降、マスコミの取材や県議からの要請についてはすべてX氏に情報を上げるよう、担当部局に指示されているという。

現状を見る限り、行政サイドの自浄作用は望むべくもない。せめて今後このような問題が生じないよう、等価交換についてのルールを見直すなどの対策を取るしかないだろう。