資料が語る県・前原市・業者の「親密ぶり」 前原RP問題で [2008年7月3日08:36更新]

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(08年6月号掲載) 

前原市役所県有地との等価交換が妥当だったか、民間企業への便宜供与ではなかったのか、土地所有者だった民間企業と行政側の関係は適切だったのか―。 

前原リサーチパークの用地取得に絡み、本紙がこれまで指摘してきた「疑惑」は、議会でのやり取りを経ても依然残されたまま。そんな中、行政側から提出された資料から3者の「親密ぶり」が明らかになった。

果たしてこのような相手に本気で賠償請求する気があるのだろうか。

県の2度目の調査では汚染の程度が前回より低くなっている。最終的に「重大な損害はなかった」と結論付けられる可能性もあると言わざるをえない。



 

県が等価交換した直接の契約者は、福岡市の民間企業A社。だが交換した県有地の所有権はA社からすぐに不動産会社S社へ移され、マンション用地などとして開発、販売された。A社は会社としての実態はなく、所在地とされる場所にはS社が事務所を構える。役員も重複しており2社は事実上、一体と考えていい。

明らかになった行政側作成の文書には3者の「親密ぶり」が記されていた。 

「固定資産税、何とかならないか」

S社オーナー・前原市長との3者面談についての報告(抜粋)
(06年4月13日、S社応接室での面談の記録。参加者はS社会長、前原市・松本嶺男市長、県・井上照明企画振興部長=当時、ほか)

井上部長 本日は貴重な時間をいただいてありがたい。(中略)用地交換を早急に終わらせ事業に取り組みたいのでよろしくお願いしたい。
S社会長 市長が部長時代にこの話をもって来られはや3年がたっている。(中略)2本の事業が同時に進捗することは素晴らしい。(中略)九大に抜ける道が完成するとゴルフ場の固定資産税が上がるので何とかならないだろうか。
松本市長 前向きに検討させたい。 

「S社救済のための事業と言われかねない」

九大学研構想推進に関する県と前原市による協議の記録(抜粋)
03年6月23日、県企画振興部長室での協議の記録。参加者は前原市・春田整秀市長=当時、県・松本嶺男企画振興部長=同、現前原市長ほか)

同部次長 今回の問題は未買収地があることである。そこは、S社というよりも市で買収してもらいたい。(中略)県もリスクを負うが市もリスクを負ってもらいたい。企業誘致を行うにしても土地がないと進まない。
春田市長 (略)市としてもどこかの企業が進出するなど、最初にきっかけが欲しい。でないと、議会からS社救済のための事業といわれそうだ。
松本部長 (略)県としても、土地確保のための理由付けが必要である。市の方で、都合の良い方法を考えてもらえないか。
春田市長 検討する。

川崎俊丸議員は委員会でこれらの資料を踏まえ「『まずS社との土地交換ありき』で事業を進めてきたのではないか」と、事業そのものがS社との親密な関係を前提に行われた疑いについて問い質した。県は「ここにも書いてある通り、糸島地区を知の拠点とするための一環の事業であり、そのようなことはない」と答えたが、3者の関係については直接言及はしなかった。 

有害物質は基準値内に

福岡県庁県は「免責条項があっても重大な損害が見つかった場合は賠償請求できる」などと述べている。問題は「重大な損害」とはどの程度を指すのか、ということである。

県は今議会で「周辺に被害などは出てない」と説明。また現地で行った2回目の検査では、有害物質はなぜか基準値内だったという。

前述のような関係にあるS社に、賠償を請求する意志が本当に県にあるとは思えない。今後県が、汚染の度合いを「重大な損害ではない」=限りなく小さいものにしていく可能性は捨てきれない。

もしそうなれば県民には、優良な県有地と引き換えに、産廃が埋まった土地だけが残される結果となる。