(08年5月号掲載) 一連の経緯を調べていくと、隣接する土地にリサイクル施設を持つ庄野崎徹二さんを産廃投棄の「犯人」に仕立て上げようとした「民間業者つぶし」だった可能性が浮かび上がってきた。 だが実際には、今回の調査で分かった不法投棄は別の業者が行っていたことが、本紙が入手した資料で判明。県側の思惑がはずれただけでなく、県議から想定外の追及を受け、結果的に不可解な土地取引の実態が議会で表面化してしまった─と言えそうだ。 3月議会で表面化した今回の産廃不法投棄問題。昨年行われた土壌調査は、同10月18日に前原市が開催したリサーチパーク造成工事に伴う地元説明会で寄せられた、「区域の南側に土砂を採取して残土を入れていた箇所がある」との情報がきっかけだった。その後、県はすぐさま調査を開始。場所は庄野崎さんの土地と隣接する区域だった。 「昨年末、知り合いの業者から『あんたが産廃を投棄しているという噂が出回っている』と聞いた」と庄野崎さんは話す。つまり、県が調査を始めた直後から、「庄野崎犯人説」が流布されていたことになる。 ところが今回発覚した不法投棄は、別の業者によるものだったことが資料から明らかになった。 資料によると1984年ごろ、前原町(現前原市)の別の業者が当時の土地所有者に「残土で埋め立ててやる」と言いながら、実際にはコンクリート片などの産廃を不法投棄した。このため両者間でトラブルとなり4年後に調停が成立した。 この資料は当時調停に関わった弁護士から入手したもので、「庄野崎さんは不法投棄にはまったく関係がない」としている。 犯人にされかけた庄野崎さんは、問題が表面化した後この文書を前原市など関係各所に送ったという。 県と庄野崎さんの間では00年以降、事業の許認可をめぐり裁判沙汰となっているのは「不可解な県の対応」で述べた通り。 リサーチパーク建設計画用地には当初、A社の土地だけでなく隣接する庄野崎さんの土地も含まれていた。だが庄野崎さんは土地の売却には応じず、結局県はA社所有の土地だけを等価交換で取得した。 この経緯について本紙は昨年8月号で「県が仕組んだ『土地収奪の罠』?」と題し「再開発構想に絡んで県・前原市・A社が結託し、庄野崎さんの土地を奪おうとしたのではないか」と報じた。 県や前原市にとって庄野崎さんは「目の上のコブ」だったわけだ。 説明会で寄せられた情報は事実上、庄野崎さんを指している。これを踏まえ県は、用地に隣接してリサイクル施設を持つ庄野崎さんを「不法投棄の犯人」と想定していたわけだ。 だが実際に不法投棄をしたのは別業者で、地元の一部関係者は知っていたという。そうなると説明会での情報そのものの正当性が疑われる。 こうした点を総合すると、県と前原市が1民間業者を狙い撃ちするために説明会を「演出」、寄せられた情報を口実に調査を実施し、不法投棄の責任を負わせようとしたのではないか―と考えざるをえない。 だが県や前原市の「思惑」は、庄野崎さんが捨てたのではないとする資料の存在でもろくも崩れ去った。そればかりか、不透明な土地取引の実態が議会で問題となり、麻生渡知事をはじめ関係者が「虚偽答弁」をしなければならなくなった。 身から出たサビとも言えそうだが、ではこの大掛かりな「絵」を描いたのは誰なのか。特定の業者への利益供与としか思えない等価交換の実態も含め、1部局が判断し扱えるような事案ではないことは明白だ。 松本嶺男・前原市長は県庁出身で、担当部局である企画調整部の元部長。05年10月の市長選出馬に当たっては、麻生知事みずからが地元の有力者を集め、支援を訴えたという。
麻生渡知事と県側の虚偽答弁が明らかになった前原ICリサーチパーク問題。ここで疑問なのは、「県は事前に産廃投棄を知っていたにもかかわらず、なぜあらためて調査したのか」という点だ。
「県の担当部局に取材すると『今回の産廃は隣りの業者(=庄野崎さん、本紙補足)が不法投棄した』と明言していました」と話すのは、あるマスコミの記者だ。
庄野崎さんは、前原市が開いた説明会直前の同年8月、「事業の許可をしないのは県と前原市の不法な謀議に基くもの」などとして、損害賠償請求を新たに起こしていた。
業者を狙い撃ち? 県は「犯人」 捨てたのは別人 [2008年6月9日08:42更新]
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誰が描いた「絵」?

