不可解な県の対応 前原リサーチパーク用地の産廃問題で [2008年5月7日12:52更新]

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(08年4月号掲載) 

前原IC南地区リサーチパーク(仮称)用地「前原IC南地区リサーチパーク(仮称)」の用地(前原市)で廃棄物が不法投棄されていたことが明らかとなり、所有者の県が揺れている。

用地は県有地と民間会社所有の土地とを等価交換し取得したものだが、3月議会で県は「事前に不法投棄は知らなかった」とした上で「損害が生じたとは思わない」と答弁。いまだ本格的な実態調査を始めていないなど、ずさんな取引と不可解な対応に批判が上がっている。

麻生渡知事は「訴訟を検討したい」としているが、場合によっては処理費用を県民が負担する可能性もある。

今後の県の動向が注目される。



あまりにずさんな取引 県は「不法投棄、知らなかった」

用地(約25ヘクタール、地図参照)は、現在進行中の九州学研都市構想の一貫として県が06年、民間事業所A社所有の土地と、県有地7カ所(福岡市、大牟田市など)とを等価交換し取得した。

昨年10月、廃棄物埋設の可能性があるとの情報を得て県がボーリング調査をすると、環境基準値を上回るヒ素やフッ素などが検出された。

そのため、3月にも開始されるはずだった造成事業が滞る事態となった。 

この問題について、3月議会で県議が質問し、県は「土地に廃棄物が埋められていたことは知らなかった」と答弁。

また、交換する県有地の評価額に関する資料を県議に要求されたが、事前に算定したものはなかったことが明らかになり、議員から「あまりにずさんだ」などと批判が相次いだ。

処理負担は県民に? 瑕疵責任問えない可能性

土壌汚染が発覚した以上、今後リサーチパーク事業を進めるためには少なくとも土壌改良をするなどの措置を取らなければならない。誰がいつ何を捨てたのかなど、その経緯と実態を調査し、責任の所在を明確にする必要がある。その上で処理にかかる費用を調べ、しかるべき相手に請求するのが筋だろう。

だが、問題発覚後の県の対応は「不可解」と言わざるをえない。「土地の所有者に実態を聞いたのか」との県議の質問に「聞いていない」。誰が考えてもまず最初に話を聞くべき相手なのだが、県はいまだに調べてないというのだ。

「県の財産に重大な損害があるとは思わないか」との問いにも、県側は「損害が発生したとは思わない」と"強弁"。県民の財産である土地を汚染された土地と交換したのだから、手続きに不備があろうがなかろうが、現段階で損害が生じているのは明白なのだが。

損害がないのだから実態を調べる必要はない―とでも言いたいのだろうか。

さすがにまずいと思ったのか麻生知事は議会終盤、「相手の瑕疵が追及できる損害が確認できたら訴訟を検討する」と答弁したが、「ある県職員は『売買ではなく等価交換だからお互いさま(瑕疵担保責任を相手に求められない)』と話していた」(県議)。

そうなると、処理費用=失政のツケが県民負担となる可能性も否定できない。 

本紙既報の「県と前所有者の関係」

本紙読者であれば柳川市の化粧品工場跡地問題を思い浮かべることだろう。旧大和町が購入した建物と土地に、アスベストや廃棄物があることが発覚。その処理をめぐって柳川市では、責任の所在や誰が費用負担するのかが、いまだに定まっていない。

化粧品会社の責任を追及する気があるとは思えない市執行部を、市民と議会は厳しく批判。「町長(現柳川市長)は事前にアスベストなどの存在を知っていたのでは」との疑念も根強い。

 

県の対応ぶりを見ていると「廃棄物投棄は知らなかった」との発言は柳川のケースと同様、額面通りには受け取れない。

リサーチパーク用地では00、03年にコンクリート片などの不法投棄が見つかっている。周辺では「廃棄物が投棄されていることは多くの人が知っている」(付近住民)という。にもかかわらず県は「事業に問題はない」と調査もせずに取得を進めた。

 

本紙は、前所有者のA社と県について昨年8月号で「県が仕組んだ『土地収奪の罠』?」と題し、両者が「特別な関係」にある疑いについて報じた。仮に県が廃棄物の不法投棄を知った上で取引したとすれば、問題発覚後、実態解明・責任追及に「及び腰」なのも理解できるのだが…。

このままうやむやにしてしまえば県は、「県民に損害を与えた上、特定の業者に『利益供与』を図った」―と批難されても仕方なかろう。こうした疑念を払拭できるかは、すべて今後の対応ぶりにかかっている。