(08年3月号掲載) 1年前に否決された無料化案を、この3月議会で再び提出した吉田市長。一方、自民党・みらい福岡は共同で対案を出し「どちらに決まるにしても僅差」という情勢だ。 この問題について「うまく解決すれば、民主党などの推薦を受けて当選した市長と、野党保守勢力が近付くきっかけになるのだが」と見る自民関係者も。市民の関心が高まる中、採決は今月末に迫っている。 「多くの市民から意見を聞いて参考にし、非常に良い物が出来たと自負しています」。ある自民市議は、今回提出した対案について自信たっぷりに語る。 学童保育は、帰宅しても保護者がいない共働きの家庭などの児童を対象に、専門の指導員のもと、校内の施設で預かる制度。現行では小学1~3年生が対象、月額基本料が3000円で午後6時まで。ただし、一定の所得を下回る世帯などには減免措置がある。 吉田市長は学童保育無料案を昨年3月議会に提出したが、自民・みらいの反対で否決。にもかかわらず市長は今回「基本料無料、最大延長午後7時まで」とする案をあらためて提出した。 一方、今議会で提出された2会派の対案は (1)減免措置は残した上で有料を維持 (2)対象を小学6年生まで広げる (3)最大延長午後7時まで というもの。市民へのアンケートで集まった意見をもとに作成したという。 「学童保育を利用しているのは1~3年生全体の約23%。このうち無料化で恩恵を受けるのは、現行制度では減免措置の対象とならない約60%、つまり全体のわずか14%あまりの比較的裕福な家庭です。そのために約2億円の税金を使うことになる。それならば有料のまま、サービスを拡充した方がいいのではないかということ。これまでに主張してきた『受益者負担の原則』を貫いた結果です」(自民市議)。 自民・みらいは、無料化案を否決した直後の統一地方選で大幅に議席を減らし過半数割れ。一方、選挙で吉田市長を支え、現在与党である民主は議席を倍増させた。関係者からは「学童保育の無料化問題が大きな敗因の1つだった」との声も出た。 「昨年はこちらの主張を有権者に伝える時間がなかったが今回はじっくりと説明することができた。最初は反対していた人にも『こちらの方がいい』と理解していただけた」(自民市議)。 問題は採決の行方。民主は「厳しい予算の中、共働き家庭の支援となる」などとして支持。共産党も同じく支持を表明、公明党も支持に回るとみられる。 一方、選挙では市長を支援したふくおかネットワークなどは、結論を持ち越している。ある自民市議は「一部から『対案の方がよく出来ている』との声もある」と取り込みに自信を見せるが、「どっちに転んでも1、2票差。場合によっては議長採決もある」(同)という拮抗状態だ。 今月24日に特別委員会、25日には本会議が開かれる予定だ。 「この問題は市長と保守系議員の間の最大の『壁』。うまく落とし所を見つけられれば、距離が縮まる良い機会なんだが・・」。こう話すのはある自民関係者だ。 民主などの推薦を受け当選した吉田市長だが、現状では少数与党のため自民などへの「接近説」が絶えない。一方、ある自民市議は「民主との関係を断ってこちらへ来るなら大歓迎です」と話す。 だが現状ではお互い妥協しない「ガチンコ勝負」。前出の関係者の思いは叶いそうにない。こうした視点から議会を見てみるのもおもしろい。 いずれにしても、市長が有権者の支持をバックに公約にこだわり、一方の野党側がそれに対抗し案を出すというのはある意味、「健全な姿」と言えるのではないだろうか。
吉田宏・福岡市長の公約の1つであった「留守家庭子ども会(学童保育)の無料化」をめぐり、有料維持を主張する野党と市長側との間で激しい攻防が展開されている。
吉田市長vs自民・みらい 激しい攻防 学童保育問題で [2008年3月21日10:35更新]
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受益者負担を貫く 自民・みらい
前回否決、議席大幅に減らす
保守へ接近するきっかけとなるか?

