(08年3月号掲載) このほど本紙は、この記者が事件直後、県警捜査員の聴取に対し被告との関係や取材過程について証言している文書を入手した。 「取材内容は報道以外の目的で話さない」とするRKBの説明と裏腹の行為、しかも警察側の「意向」に沿った証言内容。同社の報道姿勢があらためて問われそうだ。 「現在出張中で(中略)電話で失礼します」。06年12月14日、県警前原署員が被告の藤原正男さん(58)について記者に事情を聴き、内容を記録した文書はこんな言葉から始まる。 「まず、9月始めころ、藤原正男さんから(中略)情報提供がありました」(原文ママ、以下同)。記者はこの後、社に届けられた「不倫通告書」を受け取り、同年9月6日ごろ、セクハラを受けたとされる女性らに会って取材。2週間ほど後にも、室見川の河川敷でカメラを回しながらインタビューした。 藤原さんとの関係については「付合いは3年ほど前からあり(中略)私の良き情報提供者」と説明。「事実関係が明らかでないこと等から報道を断念した訳です」と結ばれている。なおこの県警作成の文書は、法廷に提出されたものの、弁護側不同意のため証拠採用はされていない。 RKBは昨年、本紙に対し、証言拒否の理由を「取材内容を報道以外で話すのは信用の失墜につながる」と説明した。だがこの文書は、その主張を真っ向から否定するものではないか。しかも、問題なのはその証言内容である。 藤原さんは、セクハラ行為を理由に教育長を脅し現金6000万円を要求したとして06年11月、恐喝未遂容疑で逮捕された。 「共犯者」2人は起訴事実を認め有罪が確定。だが藤原さんは恐喝には無関係だったと一貫して主張。「セクハラに関する文書を事前に報道記者らに渡した。恐喝を計画する者がそのネタを事前に公表しようとするはずがない」。 情報提供の時期があらためて争点となり、いったん結審した公判を裁判官が再開し、記者を証人として呼ぶという異例の事態となった(本紙既報)。 恐喝があったとされる時期は06年8月末から9月初め。藤原さんの主張では、最初に記者に情報を提供したのは8月10日ごろで、その後同月19日に文書を社まで届けたという。一方、「最初は9月ごろだった」という記者の証言は、情報提供は恐喝が失敗に終わった後だったとしたい当局側に都合が良いものである。 どちらが正しいのか。以下で検討してみよう。 (1)警察が証言をねつ造 この可能性は低いだろう。いずれ法廷で公になるし、記者の証言をねつ造したとなれば、県警は報道陣から集中攻撃を浴び「火だるま」となるのは必至だ。 「記者の証言拒否の後、ある検察関係者が怒ってましたよ」。こう話すのは司法担当記者だ。「以前ペラペラしゃべっときながら、今さら何が報道の原則だ」ということなのだろう。 もしもねつ造であれば、RKBは県警へ厳重に抗議し、それを報道して事実を明らかにするべきである。 (2)藤原さんの証言が嘘 藤原さんは、記者に文書を渡した日付をメモ帳に記していた(証拠採用)。さらに逮捕直後から捜査員に対し、記者らに事情を聴くよう再三求めていた。もし嘘ならば、みずから調べを求めるのは不自然である。 また、記者が法廷での証言を拒否した理由が不明。報道の原則はもちろんのこと、「本当のことを証言すれば藤原さんに不利になるから」という可能性も、すでに警察に話した以上、成り立たないのは明白だ。 ちなみに記者は昨年、本紙に対し「藤原さんは無罪でしょう」と語った・・。 福岡地裁が作成した「証人尋問調書」。昨年10月19日に、わざわざ福岡家庭裁判所に場所を移して行われた、RKB記者に対する尋問の記録である。 調書によると、弁護側が「警察には話せて裁判所にどうして話せないのか」と問うと記者は「その時には一方的に電話で、いわゆる単なる確認という作業のレベルだと関知していた」「こういう記録として残るところで証言するのは難しい」と返答。「警察にある程度しゃべっているのにここで拒否するのはおかしい」と追及されると、記者は「・・」と無言のままだった。 また検察側が「あなたは(警察に)9月ころにセクハラ証言を渡されたといっているのでは」と聞くと「覚えていません」と述べた。 もし記者が事実と違う証言を警察にしていたとすれば、法廷での証言拒否は「警察に話した通り述べると、藤原さんの前で嘘を言わなければならない。また本当のことを話せば、警察に嘘を言ったことが明らかになる」から、と説明できる。 結局、この可能性が最も高いと言うほかない。特に深く考えもせず、警察との「良好な関係を保つため」に気軽に話を合わせたが、後で重要性に気付き、法廷での証言を拒否せざるをえなくなったのではないか。 これまで「ありのままを証言してくれていれば無罪が証明できるのに」と話しながらも、事情を考慮して記者個人を責めようとはしなかった藤原さん。だが今回、文書を見て「まさか・・。これは私への犯罪行為ですよ」と呆然としてい RKBは本紙の取材に対し「そのような文書の存在は知らなかったので回答しかねる。『取材内容については報道にのみ使用することが報道機関としての責務』との立場に揺るぎはない」としている。 判決言い渡しは今月21日に予定されている。
二丈町教育長に対する恐喝未遂事件の裁判に絡み、被告の無罪主張が本当かどうかに関わる重要な証言を、RKB毎日放送(福岡市)の報道記者が法廷で拒否。理由として「報道の原則」を挙げたことを昨年11月号で報じた。
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RKB記者 警察にはペラペラ!? 揺らぐ「報道の原則」 [2008年3月18日09:30更新]
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経緯を詳細に証言
恐喝行為の前か後か?文書の提供時期が争点に
誰が嘘を?
「単なる確認」?
「これは犯罪行為」と呆然

