(08年2月号掲載) 題名は「Tchindon ちんどん」。「アダチ宣伝社」(福岡市)の安達ひでやさん率いる「チンドン屋さん」と、子どもたちとのエピソードを中心とした、オムニバスストーリー。最初からフランスでの上映を前提にしているため、全編フランス語(日本語部分はフランス語字幕)で製作されるという異色作だ。 本紙は、能古島(福岡市西区)でこのほど行われた、プロモーション(宣伝)用の撮影現場を取材。また監督を務める柴田洋一さんに、製作のきっかけやこの映画にかける思いなどを聞いた。 コマ回し、紙風船、ケン玉・・。懐かしい遊びに興じる子どもたち。その傍らを、ちょんまげ姿の大人たちが楽器を鳴らしながら通り過ぎて行く。「あっ、チンドン屋さんだ!」。 2月2日、能古島のアイランドパーク。プロモーション用のビデオ撮影が行われたのは、昔ながらの風情を残した、古い家屋が建ち並ぶ「思ひ出通り」。ここを中心に、安達さんら3人のチンドン屋が子どもたちと絡む場面がカメラに収められた。
「安達さんを主役に、外国で通用する映画を作りたい。それも、大手配給会社に頼るのではなく自分たちの手で、地元・福岡を舞台にして・・。そんな思いがすべてのスタートでした」。監督の柴田さんはこう話す。 「今日本で上映される映画はハリウッドを始めとする外国製か、テレビの人気番組の焼き直しばかり。まして、海外から評価されるものは本当に少ない。だったら、最初から海外市場に狙いを定めて作ろうと」 扱うテーマとして最初は博多山笠のような伝統的な祭も浮かんだ。だが、もともと知り合いだった安達さんのチンドン屋という題材と、映画・芸能大国フランスとが結びつき、すぐにイメージが湧いたという。 「フランスは、『中央映画庁』があるような国。同時に大道芸が盛んで、文化の1つとして認知されている。さらに今年は日仏交流150周年。交流が始まったころ、江戸時代末期に生まれたチンドン屋という日本の文化を紹介するにはもってこいだと思いました」 「海外での買い付けから宣伝、映画館経営・・。これまで30年近く映画に関わってきました」。いまや伝説となっている名画座「テアトル西新」(1988年閉館)で、映画の配給・買い付けをしていた柴田さん。 一度東京に出てから再び福岡へ戻り、子どもに映画の魅力と面白さを伝えようと、4年前「NPO法人博多映画道場」を立ち上げた。今回、映画に出演する子どもたちはみな柴田さんの「教え子」である。 「仕事でフランスなどを訪れるうちに強くなった、『ヨーロッパや外国の映画を買うのではなく、外国が買ってくれるような日本映画を作れたら』という思い。夢の実現へ向け、一歩踏み出したと実感しています」 映画「Tchindon ちんどん」は3部構成。チンドン屋と子どもたちの出会いを描いたショートストーリー、安達さんらの「技」を伝えるステージショー、そして「フランス人旅行作家」が日本文化を語る。作家役は「世界のCMフェスティバル」の仕掛け人で福岡市在住のフランス人、ジャンクリスチャン・ブーヴィエさんが担当する。 スタッフは、制作を務める「NPO法人交響の森」代表理事の遠藤雅美さんら7人。3月末にクランクインし、季節ごとの福岡の風景を織り込みながら9月まで撮影は続く。11月にパリで公開した後、12月に福岡市で「凱旋公開」する予定。 「今回の映画は完全に自主製作です。ですから、費用は『製作協力金』という形で、多くの市民から募りたいと思います。ご協力いただいた方はできる限りテロップに名前を載せますし、福岡での公開の際には、もちろん全員を招待したいと考えています」(遠藤さん)。 <映画に関するお問い合わせ>
自分たちの手で撮った映画で世界進出を―。こんな「壮大」なプロジェクトが、福岡でスタートした。
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宣伝用といっても、撮影はまさに本番さながら。表を通るチンドン屋に気付き、駄菓子屋から飛び出してくる子どもたち。水仙が咲き乱れる斜面を子どもたちと列になって歩くチンドン屋。こうしたシーンが次々と撮影されて行く。
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この日は強い風が吹き、時おり小雨も降る悪コンディション。アコーディオンを演奏する安達さんの手がかじかんで思い通りに動かず、何度か撮り直すこともあった。
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★「Tchindon ちんどん」オフィシャルサイトはこちら
主人公はチンドン屋 自主製作映画で世界へ [2008年3月5日09:03更新]
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プロモーション撮影 本番さながら
日仏交流150周年
映画と長年関わって
「多くの市民に 協力してほしい」

