アスベストある体育館を開放 専門家「閉鎖すべき」 篠栗町 [2008年2月20日13:55更新]

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(08年2月号掲載) 

篠栗町民体育館篠栗町(三浦正町長)が運営する町民体育館(同町尾仲)。天井にはアスベストが使用されているが、町は現在も一般開放を続けている。この対応に一部の専門家から「非常に危険。閉鎖するべき」と批判の声が上がっている。

町は「これまで定期的に空気中の飛散状況を調べており、問題ない」としているが、アスベストは「事実上露出した状態にある」(専門家)。指摘を受けた町がどう対応するか注目される。             



 

町関係者などによると、アスベストによる健康被害が大々的に報道された05年、体育館を調べたところ天井にアスベストが塗布されていることを確認した。町は議会で報告、県とも連絡を取り、一般開放を続けることを決めた。現在まで年に4回、空気中の環境調査を継続しているという。 

事実上、露出状態 「信じられない」専門家は絶句

2月上旬のある午後。本紙は、アスベストに詳しい専門家とともに町民体育館を訪れた。

「なるほど、あれは『ルーバー』です。あの奥にアスベストが塗布されているのでしょう」。天井を指しながら専門家は説明する。

天井と床との間はルーバーで仕切られ、ここからライトなどが吊り下げられている。だがこのルーバーは格子状になっており隙間が空いている。その奥は暗くて見えない。

「アスベストは下からは見えませんが、いわば『天井裏』にあるのでしょう。ルーバーに隙間が空いているため、事実上『露出している状態』なわけです」 

アスベストは、耐熱・防音材として、1970年代から多くの建築物に使われた。しかしここ数年、アスベストが原因とみられる肺がんなどによる死亡者が増加している。このため労働安全衛生法や大気汚染防止法などで、予防や飛散防止などの対策が図られている。 

この日、館内では多くの大人や子どもたちがバドミントンなどに興じていた。「うーん、これは・・。信じられない」。その光景を見ながら、あるアスベストの専門家は絶句した。 

 

篠栗町は「現状で問題ない」と判断
町関係者によると、05年の調査で天井の全面にアスベストが使われていることがわかった。

だがその下、約2~3㍍の位置にルーバーがあるため、町は「アスベストに直接ボールが当たるなどという危険性はない」と判断した。

また、体育館の耐用年数もまだ十分なことなどから、使用の継続を決めたという。

関係者によると、町は昨年はじめごろ、専門業者に調査などを依頼。除去費用の見積もりは、5000万円前後だったという。だがその後、除去についての議論はされていない。 

放置は 「人命軽視ではないか」

こうした町の姿勢に対し、専門家は「アスベストの存在がはっきりし、しかも事実上、露出状態なのに、使用を続けるのは『人命軽視』と言える。すぐに閉鎖するべきです」と指摘する。

「館内の空気中に飛散するアスベスト量は、現在は問題ないかもしれない。しかし、地震などでいつ剥がれ落ちるかわからない。まして体育館はスポーツをする場所ですから、使用に伴う震動も心配。体育館の利用者は、いわば常に危険にさらされているわけで、いまだに開放しているというのは危機意識が低すぎる」(専門家)。 

アスベストによる健康被害が社会問題化したのはここ数年のことである。工事現場などで長期に渡って吸い込んだ作業従事者らの死亡例が増加。アスベストを使用した製造業者の死者数が公表されるなどマスコミをにぎわせ、今や「アスベスト=発がん性物質」というのは一般にも浸透している。

「公営施設のアスベスト除去問題は、その費用が高いために各自治体を悩ませているのが現状。ですが、今も残るアスベストは、ほとんどが閉鎖された建物内や一般人立入禁止区域など。篠栗町のような例は聞いたことがない」(専門家)。問題は、町民がこの事実を知った上で利用しているのかどうか。町は「議会で答弁するなどしており、隠しているわけではない」というが・・。 

「危険を知らずに『露出』したアスベストの下で遊ぶ多くの町民が、気の毒ですよ」(専門家)。