暫定税率めぐり論争 民主が「誠橋」(八女市)をヤリ玉に [2008年2月18日13:50更新]

タグで検索→ |

noimage

(08年2月号掲載) 

朧大橋を訪れた菅直人氏ら民主視察団衆院解散・総選挙」が遠のいた感のある国会で、新たな火種が持ち上がっている。道路特定財源の暫定税率問題だ。

「地方の道路整備のためにも暫定税率維持が必要」と主張する自民党や地方自治体に対し、民主党は「ガソリンを安くするためにも撤廃すべき」と反論。さらに「特定財源を見直し、地方へ移譲する」と掲げる民主は、「道路族の利権の象徴」として、自民・古賀誠氏のおひざ元である八女市の朧(おぼろ)大橋をヤリ玉に挙げた。

今月19日には菅氏と麻生渡知事らが討論会を開催するなど、来月末に迫る期間延長期限を前に、にわかに盛り上がってきた暫定税率問題。与野党、そして地方自治体の思惑が絡み、当分目が離せそうにない。



菅氏に旧上陽町長が反論

「道路特定財源が本格的に議論されることになり、具体的にどう使われているのか、現地を見てみようと」。

1月26日、地元で「誠橋」と呼ばれている旧上陽町(現八女市)の朧大橋を訪れた民主党の視察団。菅直人氏は、実際に見た感想をたずねられて「地元にとってはもちろんあった方がいいんでしょうが、現時点ではあまり利用されていないのかな、と思った」

現地では当日、旧上陽町長の牛島剛氏が1人で視察団を待ち構えていた。

「東京に行って土下座して、やっと造った」と食って掛かる牛嶋氏に、菅氏は「ですから、そういうこと自体がおかしい。財源そのものを地方に移そうとしているわけですから」と説明する場面も。

視察を終えた菅氏は「ここは古賀誠さんの地元。数十億円もの金が投じられたのは古賀さんのおかげなのかなと。ほかにも必要な道路があると言いながら、結局は『道路族』の有力な議員がいる所にはこんな橋ができるという構造の、1つの例ではないか」と語った。

朧大橋は全長約300㍍。周辺道路も含めると約90億円が投入されたといい、02年に完成した。 

麻生知事「暫定税率は維持を」にヤジ

暫定税率問題は、永田町の新たな論争の火種として、ガソリン価格の高騰にともない浮上した。

道路特定財源は道路の維持・整備費用を、受益者負担の原則からガソリン税・自動車重量税などで賄う制度。この中で、ほとんどの税目で本来の税率の約2倍の「暫定税率」が適用されている。

これは高度成長期に道路整備の財源不足が懸念されたため、1974年度からの「暫定措置」として実施されたが、その後も継続されているからだ。

従来から「道路特定財源は『道路族』などの利権の温床」としてきた民主は、この暫定税率を「廃止すべき」と主張。与党や地方の反発を買っている。

 

菅氏の視察と同じ日。福岡市内で開かれた民主・松本龍衆院議員のパーティーには、麻生渡知事が出席していた。「敵陣」に乗り込んだ形の麻生知事が「ガソリンの税率を下げますと道路整備がパタッと止まります」と発言。会場から「反対」などとヤジが飛んだ。

とはいえ多くの地方自治体が「道路特定財源の暫定税率維持」を求めているのが現実だ。

 これに対し菅氏は道路特定財源の一般財源化などをテーマとした公開討論会を、全国知事会長でもある麻生知事と東国原英夫・宮崎県知事に申し入れた。東国原知事は「応じる」と即答し、3者は今月19日、東京で討論会を開く予定だ。 

波紋呼ぶ利権顔発言

民主党を批判する古賀誠氏一方、菅氏に名指しされた自民党選対委員長の古賀誠氏。2月1日に福岡市内で開かれたパーティーで、道路特定財源問題に触れ「特定財源を1つの焦点として、解散・総選挙に持ち込もうとする、政党の目的達成のための議論だ」と民主の姿勢を批判した。

この古賀氏に対し、菅氏は1月30日の民放番組内で「見るからに(道路)利権だけは放さないという決意が表れている」と揶揄した。この「利権顔発言」で名前を挙げられた古賀氏らが「明らかな名誉毀損」と激怒。菅氏側に謝罪を求め、質問状を送りつけるなど泥仕合の様相を呈している。

与野党、地方自治体の本音がぶつかり合う暫定税率問題。この論争をきっかけに早期解散・総選挙に持ち込みたい民主の思惑も見え隠れする。今後、どう推移していくのだろうか。