分岐点迎える柳川市 執行部と議会の対立 決定的に [2008年2月5日09:23更新]

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(08年1月号掲載) 

昨年末に閉鎖されたP社工場旧大和町(現柳川市)が購入した化粧品工場をめぐる問題などで、石田宝蔵市長ら執行部と市議会の対立が決定的となった。

アスベストや土壌汚染の問題を本気で解決しようとする意志が見えない市長に対し、議会は昨年末、市長の責任を問う決議を可決、関係は修復不能の状態だ。執行部に対する反発は議会や市民の間だけでなく市役所内部でも高まっており、今後リコール(文末の【ことば】参照)運動などに発展する可能性もある。

このまま石田市政を続けるか否か。 今年は、柳川市民にとって重大な選択を迫られる「分岐点」となりそうだ。



市長に飛んだ罵声

「これまでと話が違うじゃないか」「責任を持って交渉すると言って来た。市長は嘘つきだ」 

昨年末に開かれた、柳川市議会の全員協議会。執行部が「化粧品会社P社は瑕疵担保責任の延長に応じない」と報告すると、市議らからいっせいに罵声が飛んだ。

交渉の日時や経過について問われると、大泉勝利副市長は「電話で数回、話をした」「(P社幹部が)出張で連絡が取れない、とのことだった」などと答弁。ある市議は「市長は『一生懸命交渉している』と言っていたが電話とは・・」と呆れ顔だ。 

翌日の本会議で、議会側は

(1)売買契約の締結や代金支払いに関する事務処理が極めてずさん

(2)アスベストや産業廃棄物の埋設を見逃した責任がある

―などとして、石田市長らの責任を問う「工場跡地問題に関する決議」を可決した。

執行部は「損害賠償請求の意志を見せれば瑕疵担保責任の期限が延びる」としてその旨を伝える文書をP社に渡した。だが「本気で交渉する気がないのは明らか」(ある市議)と、両者の決裂は決定的となった。 

責任は誰が取る?

現在、市の持ち物となっている化粧品工場。建物にアスベストが大量に使われていることが発覚し、さらに土壌調査によって、敷地内に廃棄物が埋められていたことも明らかになった。

しかし石田市長は「(撤去費用などをP社が負担することは)120%ありえない」と答弁。「現在交渉中」としてきたが、実態は、昨年末でP社工場が完全撤退するのを指をくわえて見ていただけ。「本気で交渉する気がない」と批難されても当然だろう。

責任期間が延長されても、無意味に時間が過ぎるだけという事態が予想される。数億円ともされる後処理費用は、最終的に市民に押し付けられる可能性が高い。 

柳川市役所「物言えば・・」

「今の市長になって、『どうしてこの人がこんな閑職に』という例が多々ある」とある市職員。「市長に何か進言したりするとこうなるという、見せしめです」。組織では大なり小なりあることだが「ここでは露骨すぎる」(同)という。

昨年の9月には「市議会本会議のモニター(各庁舎内や出先に配備)を、職員は見てはならない」という内部通達が出されている。「議員に追及される姿を見せたくないのでしょうが」(別の市職員)。

これらの結果、役所には「『物言えば唇寒し』の雰囲気がまん延している」(同)状態だ。

柳川市役所

柳川の未来占う年に

有名な観光地である柳川市だが、観光客数は年々減少を続けているという。交通網の発達で選択肢が広がり「ライバル」が増えたことも理由の1つだ。

九州内で見ても、長崎県佐世保市や佐賀県唐津市などはその巧みな宣伝もあって、全国的に知られるようになった。一方、柳川は「街がにぎわうのは『さげもん』や大型連休の時くらい」(ある市民)という状態だ。

だが、石田市政はというと昨年から、市営駐車場の拡大工事を実施。この中には、本紙07年10月号で「便宜供与ではないか」と指摘した筑紫町の駐車場も含まれる。「今の状況でさえ普段ガラガラなのに・・」(ある市民)。佐世保市の街づくりに携わるコピーライターは「20年以上前の発想。時代遅れですよ」と一蹴する。

時代の流れに逆行する公共工事のばら撒き、閉鎖的な強権政治。これが現在の柳川市政の姿である。すでに一部関係者や市民の間では「今の市長ではダメ」と、リコールの話が出始めている。柳川市民がどんな「未来」を選択するのか注目される年となるかもしれない。

【ことば】 リコール 
地方公共団体の首長や議員、副知事などを解職したい場合、有権者総数の3分の1以上の署名を集め代表者が選挙管理委員会に請求。その後住民投票を実施し、有効投票数の過半数の賛成で解職できる。