(07年11月号掲載) 今年6月20日から施行された改正建築基準法の影響で、全国で建築確認申請手続きが停滞。建築着工件数が大幅に減少している。2005年に発覚した構造計算書偽装問題(耐震偽装問題)を受け、確認申請の審査制度がより厳しく変更されたためだが、福岡の建設業界でも「このままでは業界からいくつもの企業が消えていくことになる」と「大ブーイング」が上がっている。 いずれは経済全体に深刻な影響をもたらすことも予想され、国土交通省をはじめとする行政の早急な対応を求める声がさらに高まりそうだ。 6月以降の状況はまさに『空白の4カ月』ですよ。このツケはいずれ大変な事態を招くことになる」。改正建築基準法施行の影響について、福岡市内のある建設会社経営者はこう憤る。 国交省が発表した建築着工統計調査(07年9月分)によると、全建築物の着工床面積は前年同月比44.7%減、新設住宅着工戸数は前年同月比44.0%減と、ともに3カ月連続で減少を続けている。 この原因は、確認申請の手続きが大幅に遅れるようになったためだ。「例えば通常のマンションならこれまでは1カ月ほどで出ていた許可が、今は3カ月経っても出るのはわずか。今年の12月から年明けに許可が出ることを見越していた物件については、見通しを大幅に修正せざるを得ない」(前出の経営者)。 05年に発覚した耐震偽装問題。建築基準法に定められた耐震基準を満たさないマンションやホテルなどが建設されていたという事実は、人々に衝撃を与え大きな社会問題となり、関係者が逮捕されるという事態に発展した。 この事件を受け、確認申請の審査をより厳しいものに改正したのだが、今度は申請業務の混乱を招いているというのだ。 「審査機関に対して、許可の遅れについて文句を言うと『それならば、あなた方が責任を取れるのですか?』と答える。どうしようもない」(別の建設会社経営者)。またある業界関係者は「これまではユルユルだった窓口業務が、法改正に過敏に反応し厳格に守ろうとしている」と話す。 確認申請をめぐるトラブルは 「国民から大々的な批判を受けたために、今度は逆に『締め付け』が厳しくなりすぎた結果」と言えそうだ。 改正建築基準法については、次のような問題点が指摘されている。 (1)法施行前に国交省から審査機関へ改正法の具体的解説がなく、審査機関が大混乱した (2)原則として、軽微な不備を除き、申請中に申請図書(設計図などの図面)の訂正ができなくなった (3)確認申請への添付書類が増加し、申請者や審査機関の負担が増加した―など。 業界からはすでに、国交省に対し制度の柔軟な運用を求める要望署が出されており、同省も今月中に施行規則を改正し大臣認定書の添付や計画変更の扱いを緩和すると、10月30日に発表している。 だが、ある建設会社社長は「一部の不心得者のおかげで業界全体が『悪者』とみなされ、法が改正された。それがそもそもの間違い」と国交省など行政側の発想そのものを批判。「建設工事の大幅な停滞は、近いうちに社会に大きなマイナスを及ぼすでしょう」 ある経済研究センターは、07年7月から9月の四半期は実質住宅投資が前期比年率で22.1%減少し、その結果、同四半期の実質GDP(国内総生産)成長率を0.8ポイント下押しする―との試算を発表。「7月から9月に落ち込んだ着工統計の数字は、日本経済にとって相当大きな影響を及ぼす」と結論付けた。 建設業界関係者は「もっと深刻な問題と捉えて早急に対策を取らないと、いずれは設計事務所をはじめ業界でバタバタと倒れる企業が出てくる。それは最終的に消費者に跳ね返るのですが・・」と危機感を募らせている。 「改正建築基準法の施行がもたらした混乱は、従来型の企業の淘汰とは異なり、優良な企業も無差別で倒産に追い込むリスクをはらんでいる」(前出の経済研究センター)。
建設業界ブーイング 改正建築基準法施行から4カ月 [2007年11月22日21:06更新]
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建築着工件数が大幅減 「空白の4カ月」
「皆さんが責任を取れるのですか?」
国交省も見直しへ
早急な対策を

