テーマパーク計画誘致断念 久山町の地権者会解散へ [2007年10月22日00:00更新]

noimage

(07年10月号掲載) 

テーマパークの建設が計画されている山林久山町で進められて来た米映画配給大手・パラマウントのテーマパーク誘致計画で、「PSJ(パラマウント・スタジオパーク・ジャパン)地権者会」は今月半ばにも総会を開き、「誘致を断念し、会を解散する」との結論を出す意向だ。

このため総事業費1400億円ともいわれた壮大な構想は、月内にも事実上破綻することが確実となった。

一方、事業を進めてきた日本トレイド(福岡市博多区)は、山崎和則社長が県庁を訪問するなど順調に行っているかのような動きを続けているが、計画が破綻すれば同社の存続そのものが危ぶまれ、出資者に対する責任問題が一気に噴き出す可能性もある。
(写真=久山町のテーマパーク建設予定地)



地権者らの怒声

「資金調達の根拠が不明確だ」「あなたにはもう任せられない」。久山町幹部、地権者らの怒声が飛ぶ。憮然とした表情の山崎社長ら。9月10日、同町役場ではこんな光景が展開された。

日トレ社と地権者会との貸借契約は9月30日が期限となっていた。山崎社長は10月以降の事業主体となる特定目的会社社長を連れて久山町役場を訪問。同町幹部や地権者会の代表者に、20日後に迫った契約終了後の、事業の進め方について説明するのが目的だった。

だが山崎氏からは資金について中身ある話は一向に出ず、町側からは非難が相次ぎ、話し合いは決裂。その後、新たに説明の場が設けられることはなかった。

「こちらが一貫して求めているのは、資金をどのように確保するのかという問題。だが、ここ何年もまったく進んでいない。もう終わりだね」(ある地権者)。

総会で解散決定へ

契約切れで事業とは無関係になった地権者会は、今月中旬にも総会を開き、今後の方針を決める。「このままずるずる行くのは避けたい。決断するときだ」 (地権者会幹部)。

総会では、パーク誘致の断念だけでなく、地権者会の解散が決議される可能性が極めて高い。これから別の企業を誘致していく上で、「パラマウント」の名は障害になりかねないからという。

「そりゃ残念ですよ、何年も検討してきたんですから」。地権者の1人はそう言ってうなだれる。予定地の開発計画頓挫は、ゴルフ場に続いて2度目。高齢化が進む地権者会にとって失望も大きい。

マスコミで情報操作

そんな地権者の思いとは裏腹に、山崎氏は「久山の人はビジネスが分かっていない」と批判し、事業が順調であるかのような振る舞いを続けているという。

今月4日午後、山崎氏は突如、福岡県庁を訪問し報道陣に「事業計画書を提出し協力を依頼した」などとコメント。翌日、地元紙の朝刊には「県に事業計画書提出 『映画パーク』で新会社」と派手な見出しが躍った。だが、その他のマスコミは「事業が進んでいるように装うパフォーマンス」とみて記事化を見送った。

「山崎氏は議会棟で、こっそりと商工部の職員に事業計画書を手渡しただけ」と話すのはある県政担当記者。県は「計画書は受け取っていない」と、この新聞社に抗議したという。

同社の報道では、2年前にも「ブルネイ王族が300億円の出資で最終調整」という記事が1面を飾ったことがある。別の記者は「山崎氏はピンチのたびに、仲が良い記者に、ありもしない話を流す。ある意味、記事は山崎氏が事業の存続に危機感を抱いていた証拠でもあるのでは」と分析する。

日トレ社も破綻確実

日本トレイドのあるビッグエア福岡山崎氏がこんな「情報操作」までするのは、事業の頓挫が日トレ社の経営破綻に直結するためとみられる。

同社の主な事業はテーマパーク誘致と、子会社による屋内スノーボード場「ビッグエア福岡」(写真)の運営だけ。極端な赤字体質で、1000万円を超える税金の滞納のため、山崎氏の自宅には県が抵当権を設定している。

株主から集めた20億円を超える出資金も底を突いたとされ、「新たな出資金が集まらなくなれば、いつ倒産してもおかしくない」(会計関係者)という。

事業が頓挫すれば会社がつぶれる上に、株主から出資金の返還を求められ、虚偽の報告を続けてきた責任が問われるのは必至。この状況を避けるために、マスコミを利用しながら、地権者と株主に嘘を重ねてきた―こう断じていいだろう。

「人工島」再浮上?

絶体絶命の日トレ・山崎氏だが、ここへ来て「福岡市が人工島へ誘致している」との情報が飛び交い始めた。ある地元メディアは今月2日、ホームページ上で「福岡市サイドが必死でアイランドシティへの呼び込みの画策を始めた」との情報を掲載。山崎氏も移転構想を周囲に吹聴しているという。

しかし市側は「まったく聞いてない」「現実的ではない」(市幹部)としており、延命を図る山崎氏の「最後の悪あがき」である可能性が高い。

万策尽き果てた時、どんな問題が噴出するのか。最終局面は間もなく訪れるだろう。