(07年9月号掲載) 現在の柳川市は05年3月、旧柳川市と大和町・三橋町が合併して誕生。直後の市長選で、マニフェストを掲げて当選した旧大和町長の石田氏は「改革派市長」との触れ込みだ。 しかし、現地を取材すると文化の香り高い水郷というイメージとは程遠い、柳川の「真の姿」が浮かび上がる。 問題になっている工場は、柳川市大和庁舎(旧大和町役場)のすぐそばにある。P社は現在も、大和町(当時)が買った土地・建物を借りる形で操業中だ。 大和町がこの工場を買収したのは2003年7月。建物約6500平方㍍、土地約3万平方㍍を5億4000万円で購入した。 まずは、その購入金額だ。「周辺の土地と比較すると、せいぜい3億8000万円が相場」(地元関係者)と、かなり高い。 石田町長(当時)が、初めて議会で買収について説明したのは02年12月。P社側から6億円の提示があったと明らかにした。 この金額に近い値で購入したわけだが、P社が独自に依頼した不動産鑑定評価書の作成日は03年2月。つまり、P社が鑑定を依頼する前に、価格が決まっていた可能性があるのだ。 なお、大和町は独自の価格調査は最後まで行っておらず、石田氏は「買収価格は適正」としながらも根拠を明らかにしていない。 問題はこれだけではない。05年7月、議会特別委員会(百条委員会)において、工場の建物全体にアスベストが使用されていることが明らかにされた。アスベストは発癌性があるとされ、撤去しなければ次の目的に使えない。多額の費用が掛かり、当然買収金額にも反映されるはずだ。ところがP社側は、事前にこの事実を知りながら隠していた疑いがあるのだ。 P社は02年、アスベスト飛散防止工事を実施している。だから、会社として知らなかったはずはない。だが、アスベストが存在するという事実は、買収を決める過程で、大和町議らに一切知らされなかった。 一方、石田氏も「何も知らされなかった」というが、本当に知らなかったか疑問が残る。今月の定例議会で石田氏は「(当時は)アスベストがどういうものかすら知らなかった」と、驚くべき発言をしている。仮に、事実を知りながらそれを隠し、相場より高い買収価格を決めたなら、背任罪に当たる疑いがある。 撤去作業と費用負担について石田氏は当初、「P社にやらせる」としていたが、今年6月議会で「(P社負担は)120%ない」と前言をなぜか撤回。市が負担する方針を表明している。 さらに、P社が敷地内に廃棄物を大量に埋めていた疑いも浮上している。 P社は売買契約を結んだ後、専門機関に環境調査を依頼。その結果「産業廃棄物の埋設、重油による土壌汚染、在来層からは土壌汚染防止法に定める基準以上のヒ素やフッ素が検出された」という。また、工場の元関係者が「長年に渡り敷地内に産業廃棄物を埋めていた」と周囲に漏らし、詳細な場所まで話していたという。 だが大和町はここを調査するどころか、購入直後の03年末、この投棄場所の上に、まるで隠蔽するかのように給食センターを建設。町民からは「なぜ今あわてて建設するのか」と疑問の声が上がった。 市による土壌調査は今年3月に実施されたが、広大な土地のたった2カ所を調べただけ。しかも、事前の情報で投棄場所とされたポイントを避ける形で行われ、最終的に「問題なし」と結論付けている。 仮に「大量の廃棄物を敷地内に不法投棄していた」ことが事実と判明すれば、化粧品会社であるP社のイメージダウンは計り知れない。だが「石田氏のおかげ」でろくに調査は行われず、相場より高額で土地と建物を処分できた。さらに現在は賃借のために固定資産税も必要ない。一連の石田氏の対応は「P社に特別に便宜を図った」と指摘されても仕方がないだろう。 そこまでする理由は何なのか? 代金の支払いが終わったのは04年末。石田氏が市長選への出馬を表明した05年2月の直前であることは、極めて興味深い。 なお、P社は来月にも工場を撤退する予定という。 また福島・和歌山などの県知事が相次いで逮捕され、「政治とカネ」「業界との癒着」に対する批判も強まった。 これは、市民が「不適切な人を首長にすると自分たちの生活に直接影響する」ということを実感しているから―と言えるのではないだろうか。 だが柳川市では、「そんなの関係なーい」とばかりに、別世界が展開されている。まさに「柳川ルール」と言うほかない、その実態の一端を紹介する。 柳川市で行われた1000万円以上の公共工事に関する資料(05年12月から1年間)を見ると、頭がクラクラしてくる。ほとんどの工事の落札率(予定価格に対する落札価格の割合)に、97~99%という数字が並んでいるのだ。 通常、落札率が95%を超えると「談合の疑いあり」と また、06年から「指名理由又は入札参加資格」の欄に「★その他市長が認めるもの」との一文が書き加えられている。市長自らが業者選定に関わっていることを「堂々と」表明しているのだ。「市民に見られている」との意識が欠如しているとしか言いようがない。 新柳川市長を決める選挙(05年4月)で、大方の予想を覆し当選した石田宝蔵氏。その選挙資金収支報告書を、本紙5月号「収支報告書作成のコツ、教えます」で登場していただいた選挙関係者に分析してもらった。 「『支出総額202万円』っていうのは凄いね。柳川の人口は7万人以上でしょ?それなら、切り詰めても1000万円は必要。まさに『清貧』選挙だったんだろうねえ(笑)。しかし、選挙カーは使ってないのかな?燃料費が計上されてないね」(A氏) 「信じられないね、『人件費0円』は。運動員は全部ボランティアなの?ウグイス嬢も?大体、選挙で一番金が掛かるのは人件費。どの陣営も頭を抱えているわけだから。すべての政治家は、石田氏に教えを乞うべきだね(笑)」(B氏) これらの問題は議会などで取り上げられながらも、市民の関心が高まっているとはいえない。旧大和町から持ち込まれた問題だけに知らない人もいるという。合併直後ということもあり単なる「内輪もめ」と捉えられているのかもしれない。 だが、談合や選挙とカネの問題を厳しくチェックするのは市民の役割でもある。こうした状態を放置して損をするのは、結局、柳川市民自身なのだが・・。 「政治家・石田ほうぞうの政治信条」 一、疑惑や不正、 不祥事のない政治 (市長選時、石田氏のマニフェストより)
市内を縦横に走る「掘割」、詩人・北原白秋の故郷―。有数の観光地として全国に知られる柳川市が今、揺れている。旧大和町がおこなった化粧品会社P社(本社大阪市)工場の買収をめぐり、不可解な決定経緯やあいまいな購入目的、工場内のアスベスト問題など数々の「疑惑」が表面化。石田宝蔵市長を追及する動きが議会などで強まっている。
(写真=P社工場敷地内に建てられた給食センター)
ここ数年、「首長の資質」に注がれる市民の視線が、より厳しいものになっている。例えば福岡市では、オリンピック招致問題や職員の飲酒事故を契機に、現職の山崎広太郎市長(当時)が落選した。
(写真=柳川市役所)
見なされる。実際、多くの工事について談合情報が関係機関に寄せられ、そのほとんどで情報通りの業者が落札するという。
疑惑の工場買収、談合が常態化? 水郷・柳川の「本当の姿」 [2007年9月15日14:16更新]
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高すぎる購入金額
建物にアスベスト
廃棄物を不法投棄?
市長選に関連か
これが柳川ルール!? 異常に高い落札率、選挙費用は200万円
98、99がズラリ
人件費は「0円」

