(07年7月号掲載) PFIは、国や自治体が発注する工事に民間のアイディアと資金を導入する方法のこと。福岡市では過去にPFI方式を用いた事業が破綻した例があるものの、全国ではいくつも成功例があり「業界の活性化につながる」とあらためて関心が高まっている状況だ。 公共工事費の削減や業界活性化につながるだけでなく新たな「街づくり」を目指す上で重要なキーワードになりそうだ。 7月10日、福岡建設会館(博多区)の一室で開かれた「第3期九州PFIスクール」の講習会。会場は約50人の出席者で埋まっていた。そのほとんどは建設業界関係者で、中には佐賀県から訪れた人も。みな一様に、真剣な眼差しで講師の話に聞き入っている。 PFIに関して学習したり事業の成功例を紹介するこの講習会を主催しているのは、NPO法人日本PFI協会である。「第1期は10数人しか集まらなかったが、今期受講を申し込んだのは60人。関心を持つ人は福岡・九州でも確増えていますね」と協会関係者は笑顔でそう語る。 公共事業費削減が背景にPFIは、国や各自治体が公共工事を行う際などに、従来のように直接施設を建設・整備するのではなく、その役割を民間企業にゆだねる手法である。 民間の資金や活力を利用することで自治体が負担する事業費を抑え、より質の高いサービスを効率的に提供しよう―というのが狙いだ。その背景には、自治体の財政状況が悪化し公共事業関連の予算が削減されているという現状がある。 PFIは1992年にイギリスで初めて導入され、日本では99年の「PFI法」制定以降、活用され始めた。すでに多くの事業がこの方式でおこなわれており、この日の福岡での講習会も、成功例として岩手県紫波町からわざわざ関係者を招いている。また、初の「民営刑務所」として話題になった山口県の「美祢社会復帰促進センター」も、この方式によるものだ。 実は福岡にはPFIをめぐる「苦い経験」がある。この方式を採用しながら全国で初めて失敗・破綻した例が、福岡市が音頭を取った温浴施設「タラソ福岡」だったことだ。 タラソ福岡は清掃工場の余熱を利用する温水プールを備えた「タラソテラピー」(海洋療法)のサービスを提供する施設で、プールの整備・運営についてPFI方式が採用された。02年に開業したが、初年度から利用者数が伸び悩んで経営が悪化。運営会社の筆頭株主だったゼネコンが経営破綻したこともあり04年に施設は閉鎖された。 「この先例がPFIへのアレルギーを生み出した。いわば福岡建設業界の〝トラウマ〟です。行政側に比べて業界は腰が引けていたのは事実」と話すのはある建設業関係者。「あのころはまだ理解が足りなかった。しかし方式そのものが悪いわけではない。今は興味を持って勉強する人が増えている。これからはどんどん利用されるでしょう」。 業界の活性化にもPFIの利点はコスト面だけではない。「自分で考え自分で作る。これが、中小企業の足腰を鍛え、活性化につながるんです」(建設業関係者)。 本紙は5月号で建設会社社長の本音を特集したが、大手ゼネコンに比べ格段に厳しい状況に置かれた地場の中小企業が生き残るためには「PFIを積極的に取り上げるべき」との指摘があった。 建設業界が自治体と連携し地域に貢献する、そのための手法として注目されるPFI。今後どのような展開をみせるのか。街づくりのあり方はどう変わるのか。今後も本紙は、各地の成功例を取材・紹介するなど、この方式に注目していきたい。 関係者の方に一言。今回の取材では、資料などに「PFI」「VFM」「SPC」「BPR」といったローマ字をはじめカタカナ言葉があふれ、非常にわかりにくかった。これらの単語に対応する日本語を、何とかしてもらえないものか。そうすれば、一般の認知度も格段に上がると思うのだが。
「PFI」―プライベート・ファイナンス・イニシアティブ。一般にはまだまだ浸透したとはいえないこの言葉だが、建設業界や行政関係者の間では今後の公共事業のあり方を占う新手法として注目を集めている。
(写真=福岡市で開かれたPFI 講習会)
PFIって何ですか? 公共事業の新手法として注目 [2007年7月15日11:04更新]
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