収支報告書作成のコツ、教えます 筑紫野市長選を例に [2007年5月15日18:29更新]

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(07年6月号掲載) 

選挙関係者が指摘する“突っ込まれないための注意点”

筑紫野市長平原四郎氏の「選挙運動費用収支報告書」統一地方選も一段落し、選挙結果を受け、多くの首長・議員が新たなスタートを切っている。だが、その選挙を支えた「裏方」の仕事は終わっていない。選挙運動にかかった費用などを選挙管理員会に報告する「収支報告書」の作成、提出という作業が待っている。

一度提出しても、不備を指摘されれば何度でも修正しなければならない。特に、初めて選挙に臨んだ新人陣営は、細かい作業に苦労されたことだろう。

そこで本紙は、今年1月におこなわれた筑紫野市長選で2選を果たした平原四郎市長の「選挙運動費用収支報告書」を例に取って複数の選挙関係者に検証してもらい、作成の際の注意点などを指摘したい。



 

マニフェスト印刷代

「ああ、これはおかしいですねえ」。選挙関係者のA氏が指摘したのは、「支出の部」に印刷費として記載されているリーフレット・マニフェストの印刷代である。

「マニフェストを選挙期間中に配布できるよう、法律が改正されたのは今回の統一地方選から。筑紫野市長選の時にはまだできないはずです。しかし、ここに記載されているということは、選挙期間中に配るつもりだったのかな?」

選挙に関わる運動・活動は、公職選挙法によって、告示日に立候補届出をしてから投票日前日までの「選挙運動」とそれ以外の「政治活動」に分けられる。

【選挙運動】   特定の選挙に、特定の候補者の当選をはかること、または当選させないことを目的に投票行為を勧めること。

【政治活動】   政治上の目的をもって行われるいっさいの活動から、選挙運動にわたる行為を除いたもの。

報告書によると、リーフレットは計6万部、マニフェストを3000枚印刷したことになっている。「平原氏は現職でしたから、リーフレットは『市政レポート』として配布した分と、後援会入会のための『討議資料』としての物でしょう。また、マニフェストとしている物も、同じく討議資料として使用したのでしょう。つまり、選挙運動ではなく政治活動のために使った、と。実際、報告書では区分として『立候補準備』と書いてある」

そうなると、別の問題が生じてくる。「仮に、後援会がおこなう政治活動用として使っていたとしたら、『選挙運動収支報告書』に記載しているのは変だ、ということになります。本来なら『政治活動収支報告書』に記載されるべきです」

政治活動収支報告書は、候補者の後援会が作成し、提出するもの。そこに記載するべき事項が、選挙運動収支報告書に記載されている、ということになる。 「討議資料としてのリーフレットやマニフェストは政治活動として認められた物であり、告示後の選挙運動では一切使用できないことになっています。しかし、実際には告示後も使う予定にしていたのかな?だから、ついうっかり選挙運動収支報告書に記載したのかも(笑)。もしそうしていたら、これは明らかに違法行為ということになります。おそらく、選管から突っ込まれるでしょうね」

選挙カーの燃料代

「うーん、これはねえ・・」。選挙関係者のB氏の口が重たくなったのは、本紙が選挙カーのガソリン代について指摘した時だ。

選挙期間中に許される選挙カーは1台だけ。それがほぼ連日50~60リットルの給油をおこなっている。リッターあたりの燃費が5キロとすると、筑紫野市内で300キロもの距離を毎日走行していたことになる。

「おそらく他の車、業界では“随行車”というのですが、その分まで含まれている可能性がありますね」。随行車とは、たとえばウグイス嬢を運んだりするために使う、法で認められた選挙カー以外の車のことを総称した呼び名である。 選挙カーの燃料代は公費で負担される。「だから、随行車の燃料代も一緒にして、その限度額一杯まで請求するということはありえますね。違法なんですけど、同じことをやっているケースがありますからね・・」

 

「今の選挙は法律でかなり細かく縛られています。ですから、収支報告書を作成するのも大変な労力と注意力が必要です。

ただ、あまり厳密に法律を適用すると、例えばまったくの素人が初めて立候補する時など、あれもダメこれもダメとなってしまう。クリーンな選挙を目指すのはいいが、そういった新たな問題も生じていることを、この機会に指摘しておきたいですね」(A氏談)