スーパーリッチになる方法!? お金儲けセミナーに潜入 [2007年5月15日11:41更新]

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(07年5月号掲載) 

「お金持ちになる法則」「あなたの収入を△△倍に」

書店やネット上に、こんな宣伝文句が溢れる昨今。現在では景気も回復基調というが、それを実感できる人はごく少数である。だからこそこんな、一攫千金の謳い文句が魅力的に映るのだろう。

だが、うまい話には「落とし穴」がつきもの。巧みな弁舌を鵜呑みにし現実を見失うと、とんでもないことになる。

そこで本紙は、福岡市内で開催されたある「お金儲けセミナー」に参加。その様子をレポートする一方、ここで推奨された「日本トレイド」(福岡市)の未公開株をめぐり「だまされた」と訴える一般投資家の声を紹介する。



 

福岡市博多区内のビルの一室。「スーパーリッチセミナー」と銘打った会に集まった50人ほどの参加者は男女ほぼ同数。その多くが顔見知りのようだった。すでに何度も足を運んでいる「常連さん」なのだろう。 主催したのは株式会社「人間と産業開発研究所」(H&M研究所、本社大阪市、倉原忠夫代表)。東京と大阪を中心に全国で同様のセミナーを展開。福岡市でも月1回のペースで開催している。

入り口では倉原代表の著書や「スーパーサイエンスグッズ」なるものが販売されている。同代表が「エネルギーを注入した」という箱やシールなどである。

軽妙な語り口 倉原代表

セミナーの最初は福島県でブルーベリー農場を展開しようとしている起業家の話。その後、不動産鑑定の話と続き、参加者の大きな拍手とともにいよいよ倉原代表が登場。関西なまりの軽妙な語り口で話を始めた。

まずは「これからは不動産鑑定業の時代が来る」。01年に設立された不動産鑑定会社の将来性について熱く語る。「この会社には大企業が出資」「09年3月に上場予定」「そうすれば、現在の未公開株が何十倍にもなる。今がチャンス」と威勢が良い言葉が並ぶ。

その上で、事前に配布された「普及員申込書」を読む。「未公開株の購入申し込み書か?」と思って見ると、「不動産鑑定会社の普及をするための権利を、権利金として▲▲口入会申し込みします」との文言が。何のことやら理解不能だが、一口30万円(!)とある。

「国連も注目」

その後は「新水力発電システム」なる物の解説。これは、水を高いところにくみ上げ、それを落とすことでタービンを回し発電するという仕組み。パイプの中を循環させるために永久的に発電が可能―との説明だ。「国際特許を取っている」「国連が注目している」「そうなれば1000億、2000億の商売だ」と語る言葉に力が入る。

時に熱く、時に冗談を交えながら語り続ける倉原代表。参加者はみな真剣な眼差しで、時折大きくうなずきながら話を聞いている。一方、初めて参加したある男性はセミナー終了後、「なんだか宗教関係の集会みたい。疑問点があっても質問する時間が設けられてないし」と不満を漏らした。

 

株券渡さず「預り証」 解約請求にも応じず 「詐欺ではないか」

「テーマパークなど実現しそうもないし、手元にあるのは『預り証』だけ。今となっては、だまされたものとほとんどあきらめています」。ため息混じりにこう語るのは熊本市在住の男性Aさんである。

Aさんの母親Bさんが、日本トレイド(山崎和則社長)の未公開株購入をH&M研究所に申し込んだのは03年6月。付き合いのあった証券会社の外務員が「今回は値上がり間違いない未公開株だから」と同社を勧めたという。

倉原代表が自らの著書で日本トレイドを取り上げたのがほぼ同時期。テーマパーク建設を目指す同社への出資は「夢とロマンへの主体的参加」と謳っている。

Bさんは言われるままに一株50万円で5株購入。250万円をH&M研究所に振り込んだ。だが、同研究所から送ってきたのは株券ではなく「預り証」だった。

これを知ったAさんは「詐欺ではないか」と思い、解約するようにBさんを説得。06年2月、同研究所へ電話し預り証の買い戻しを請求したが、「期限は05年12月15日まで」として応じてもらえなかった。

そこで日本トレイドに電話すると「現在株の名義変更が進んでいないので、株そのものは渡せない」と釈明。いまだに株券はおろか、解約さえできない状態だ。

「ノーリスク、ノーリターン」

Aさんは「株取引は素人の高齢者から金だけ取って、解約請求にも応じないとはひどい話」と憤る。一方、倉原代表はこの日のセミナーで日本トレイドにも言及。「最近アメリカの投資家の出資が決まった」「解約しようなんてバカげたことを言う人がいるが、お金が儲かるのはこれからですよ」「リスクがあるからこそリターンもあるんです」と事業が進展していることを力説した。

さらに、話の合間に幾度も「私が警察に逮捕されるなんて言う人がいる。そんなバカなことがあるわけないですよね」と語り、参加者の笑いを誘っていた。