(07年5月号掲載) 業界では「低迷する業界の象徴。先が見えない」と不安の声が上がる一方、「まさに転換期。今こそ変わらなければ」と受け止める関係者もいる。業界の抱える問題点は何か。2つの事例の背景を探る一方、福岡を代表する複数の建設会社社長に取材。生き残りをかけてどうするべきか、本音を聞いた。 「組合という組織の性格上、時代の変化に即応できなかった」。ある関係者はPC組合の廃業・自己破産についてこう語った。 同組合は1957年、地元の建設業者が出資して「福岡建設協力会協同組合」として結成された。世はまさに高度成長期。住宅の需要が伸び、工場生産による安価な住宅建設の手法としてPCが注目されていた。72年に製造工場を設立、住宅公団や公営住宅へPC部材を供給してきた。 「住宅を増やすという国や自治体の思惑とも一致し、急激に伸びていった」(前出関係者)。だが時代が変わり景気が悪化。それとともに需要が減少したが、新製品開発や技術革新など、方向転換することができなかった。「理事長は元々別の会社の人間だから工場に常駐していたわけではない。現場を知る責任者がいなかった。判断が遅れ、責任も取れない」(同)。 また別の関係者は「みんな勉強不足、時代のニーズに対応できなかった。さらに、お互い馴れ合いの雰囲気で、危険信号は出ていたはずだが、言い出せない面があった」と指摘する。 一方、「当初から県などの天下りを受け入れていたこともあり、官に頼る体質から抜け切れなかった」と話す関係者もいる。いずれにしても、今の業界が抱える問題点が「組合破綻」という形で浮き彫りにされたといっていいだろう。 「現状では業界は先細りするばかり。将来をにらむと、良い判断だった」。ある関係者は建設会館ビルの売却をこう評価する。 景気低迷を受け、スーパーゼネコンなど、協会から脱退する業者が相次いだ。今後も出資金が減少していくことを見越し、今のうちに身軽になるのが得策―との思惑があったという。「業者同士の結び付きが希薄になりつつあることの象徴だ。同時に、新たな業界再編の動きもある」。関係者はこう分析する。 揺れる建設業界。生き残るには何が必要なのか。 「今こそ転換の時。変わらなければ、業界に未来はない」―。浮上のきっかけがつかめない建設業界。果たしてこの苦境を脱し、生き残れるのか。地場の企業としてどのように地域に貢献できるのか。ピンチをチャンスに変える方法は?複数の建設会社社長から、現状認識や今後取るべき打開策について聞いた。 《現状認識》 「極めて厳しい状況、先が見えてこない。自分の子どもに会社を継がせたいかと聞かれれば、正直、継がせたくない」 「地場の中小企業はひもじすぎる、余裕がない。まず自分の会社で食っていけるようにならないと、業界全体がどんどん疲弊していく」 「とにかく、勉強が足りない、その姿勢がない。中洲辺りではバンバン金を使うのに、勉強会を開いても参加料を惜しんで出てこないような連中が多すぎる」 「変化に対応していくスピード感がない。お役所仕事をバカにするが、その役所にさえついて行けない。PC組合問題はいい例だ」 「努力しない会社が多い。そういうところは淘汰されても仕方がない。共栄共存の発想はもはや限界だ」 《業界内格差》 「スーパーゼネコン5社との差はどんどん開いている。彼らは金や人をフルに使えるし、その上さらに勉強も努力もする。談合や贈収賄など問題もあるが、行政・政治を巻き込むのも一つの努力といえなくもない。彼らを上回る努力をしないと太刀打ちできない」 《打開策は?》 「自分が施工主の立場になって考えること。請負体質からの脱却だ。そうでないと、まず設計図ありきで、自由で魅力的な発想は生まれてこない。自分で考え、自分で商品を作る。そうしないと地場産業の存在意義がない」 「ものつくりをひたすら追求する。そのために技術を磨き、勉強するしかない」 「PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)を積極的に取り入れ、自治体と連携しながら地域を活性化させる。自分たちで考えて仕事を提案し、作っていく。そういう姿勢で取り組むべきだ」 《談合・入札制度》 「談合は絶対悪であることは間違いない。『この価格が絶対に必要だ』という説得力がなければならない。そのためにはもっと企業が努力すべき」 「今の入札制度は間違っている面もある。値段だけが価値基準となっている。本当にそれが正しいのか」 「お互いを高めるための『話し合い』ならどんどんするべきだ。だが仕事を回し合うだけのものはだめ。後ろめたい気持ちを持ったまま仕事をしても良い結果が出るはずがない」 《政治家との関係》 「昔と違い、選挙の手伝いを頼まれても人も金も出す余裕がない。また、政治家と付き合う商売上のメリットもなくなってきた」 「個人的に付き合いがあったり、以前からの経緯があれば応援する。しかし、仕事上の便宜を期待してやるような時代じゃない」 「どんどん付き合うべきだ。政治家を巻き込んで自分のアイディアを現実化していく、そういう気概がなければ生き残れない。お互いの懐を暖めるためでなく、一緒に街づくりのアイディアを出し合ったり、地域に貢献する志を持ち、手を取り合ってやっていく時代だ」 《耐震強度偽装》 「『安かろう悪かろう』の典型。事件をきっかけに単価が上がるかと思ったらそうではなかった。消費者も賢くならないと、結局損をするのは自分なのに」 「今は価格の面だけで評価される。安ければ善、高ければ悪。それは間違いだと証明されたはず。世間から信頼される技術を持つことが一番重要だと思う」 《将来の人材確保》 「物を作るということに対する魅力が薄まってきている。たとえば、シドニーのオペラハウスはPCで作られた。そういったものに憧れ、建設業に魅力を感じてもらうようにしないと」 「いまだに自
公共工事の減少、談合や贈収賄事件の摘発、耐震強度偽装問題・・。様々な逆風に、低落傾向が続く建設業界。福岡においても同様で今年3月、福岡ピー・シー(PC、プレキャスト・コンクリート)協同組合が自己破産を申請。直前の1月には福岡県建設業協会が所有していた建設会館ビル(写真、福岡市博多区)が東京の不動産業者に売却された。
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変化に即応できず
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