住民をだまし? マンション建設 東区の名島台隣接地区 [2007年4月15日09:56更新]

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(07年4月号掲載) 

福岡市東区の西鉄・JR千早駅周辺で進んでいる香椎副都心土地区画整理事業。旧国鉄操車場跡地を中心に、幹線道路・公園・駅前広場といった施設整備が計画され、肥大し続ける福岡市の新しい街づくり地区として注目されている。

このエリアの南側に位置する名島台は1戸建ての家屋が整然と並ぶ、閑静な住宅街。そのすぐ脇に持ち上がった高層マンション群の建設計画をめぐり住民たちが反対の声をあげている。「事前の説明と違う」「いくら要望を出しても聞いてもらえない」

問題の背景には、計画推進のために住民を“だました”としか言いようがない、市当局と施行者であるUR都市機構の対応がある。



マンションの「屏風」

「この狭い地域に、これから高層マンションが10棟以上も建設されようとしている。もし完成すれば、住宅街を上から見下ろす、まるでマンションの屏風のようになるんですよ」。千早駅の南側、JR鹿児島本線の東側に沿って細長く延びる一角を指差しながら話すのは、名島台の住人であるAさん。この地区にはすでにマンションが5棟建っている。

昨年、名島台の住人が周辺住民に調査をおこなった。その結果、「ベランダの物が飛ばされる」「ドアの開閉が危険」といった、ビル風によると思われる被害が急増したことがわかった。名島台は日常的に風の強い地区であったために、当初からマンション建設によるビル風の発生が懸念されていた。それが住民への調査で裏付けられたわけだ。

突然の「計画変更」

だがAさんら名島台の住民が怒っているのはこれらの被害に対してというよりも、むしろ市当局やURの対応についてである。

住民が最初に住宅建設計画を知らされたのは1996年。福岡市と住宅公団(当時)は地元説明会で「名島台隣接地域は名島台並みにする」と話し、住民は「戸建て地区になる」と解釈した。当時のパンフレットには名島台と同じ規模で区画図が描かれ、住民がそう思い込むのも無理はない。

だが、土地を業者に売却した直後の03年3月、マンション建設が計画されていることが突然知らされる。パンフレットの地図もいつの間にか、マンション建設を想定した大区画のものに変更されていた。

戸建てと言ってない

当然ながら住民は「話が違う」と抗議。だが市当局とURは「説明会では『名島台並み』などとは言っていない」と録音テープがあると主張。住民側はそれを提出するよう求めたが、いまだに果たされていない。

その後も住民の請願や抗議行動をおこなっているが、市は「URは戸建ての説明などしてない」「住民にはよく説明できている」との発言を繰り返すばかり。05年に議会へ提出した請願も継続審議となり、計画が止まることはなかった。

当局は「確信犯」

当局の不誠実な対応と止まらぬ建設計画に、一部の住民の中にはあきらめムードも漂っているという。

結論から言って、市のやり方は、計画への反対運動を封じ込める「確信犯」である。このような「だまし討ち」的手法で計画を進める以上、環境対策などについて当局が事前に住民と話し合うはずもない。

反対の声が止み、マンション群が完成したとき「名島台の件、うまくいきましたね」と美酒を酌み交わす連中がいることを、忘れてはならない。