(07年4月号掲載) 第16回統一地方選前半戦の投開票が4月8日、おこなわれた。福岡市議選では民主党が議席を倍増、7区中4区でトップ当選を果たすなど躍進を見せた。さらに、無所属で当選した中から数人が民主党に加わる見通し。一方、自民系会派は過半数割れとなり、議会運営が大幅に変わるのは必至となった。また福岡県議選では、やはり民主党が7議席を増やして第2党に躍進。全国的にも民主党が議席を増やしており、7月の参院選に向け、大きな影響を与えそうだ。 (文中敬称略) 立候補者が100人を越え、大激戦となった福岡市議選(定数63)。昨年の福岡市長選以来の「風」を受け、民主が大幅に躍進した。
区 定数
自民
公明
みらい
共産
民主
社民
ネット
みどり
平成会
無所属
東区
12 4(4) 3(3)
0(-)
0(1)
1(1)
0(1)
1(1)
0(-)
0(-)
3(-)
博多区 9 3(3) 2(2)
2(2)
1(1)
0(-)
0(1)
0(-)
0(-)
0(-)
1(-)
中央区 7 3(3)
1(1)
1(2)
1(1)
1(-)
0(-)
0(-)
0(-) 0(-)
0(-)
南区 12 4(5)
2(2)
1(2)
1(1)
2(1)
0(-)
1(-)
0(-)
0(-)
1(-)
城南区 6 1(2)
1(1)
0(-)
1(1)
1(-)
0(1)
1(-)
0(-)
1(-)
0(-)
早良区 10 2(2)
2(2)
1(2)
1(1)
2(1)
1(1)
0(-)
0(1)
0(-)
1(-)
西区 7 2(3)
1(1)
1(2)
1(-)
1(1)
0(-)
0(-)
0(-)
0(-)
1(-)
計 63 19(22)
12(12)
6(10)
6(6)
8(4)
1(4)
3(2)
0(1)
1(-)
7(-)
民主は現職4人を含む8人の公認候補すべてが当選。うち4人(東区・金出公子、中央区・田中慎介、南区・三原修、西区・江藤博美)がトップ当選を果たした。ほかに推薦候補が1人(博多区)、さらに無所属からの会派入りが見込まれ、議席数を2ケタに乗せるのは確実だ。
一方、自民はいずれも現職の南区・進藤邦彦、城南区・青柳隆久が落選。西区の新人・吉村寿夫も及ばなかった。最大会派の座は守ったものの、議席を3減らして19となった。
また、みらい福岡は、無所属で出馬した5人を含めた公認13人のうち5人が落選。自民とみらいで計27議席となり、過半数割れとなった。
吉田宏市長が公約に掲げた「留守家庭子ども会(学童
保育)無料化」の条例改正案に対し、自民とみらいが反対。選挙直前の3月議会で否決に追い込んでいる。このことが選挙戦に及ぼした影響は小さくないだろう。吉田市長は改正案の再提出を目指しており、議会での対応が注目される。
公明(当選12人)、共産(同6人)はともに現状維持。平成会は、昨年の市長選に出馬した高山博光がトップ当選で返り咲き。一方、みどり福岡は荒木龍昇が落選、唯一の議席を失った。 1
2人が立候補した女性候補は、過去最多の9人が当選。また戦後最多の16人となった35歳以下の立候補者のうち、当選したのは6人にとどまった。
無投票で当選が決まった18選挙区20人をのぞく29選挙区で投票がおこなわれた。定数88に対し前回単独過半数を獲得した自民が5つ減らして40議席と、過半数割れとなった。
| 自民 | 民主 | 公明 | 共産 | 社民 | 農政連 | 無所属 | |
| 現職 | 39 | 5 | 9 | 0 | 1 | 4 | 10 |
| 元職 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 新人 | 1 | 7 | 2 | 1 | 0 | 0 | 7 |
| 合計 | 40 | 12 | 11 | 1 | 1 | 4 | 19 |
| (前回) | 45 | 5 | 11 | 4 | 3 | 7 | 13 |
一方、民主は福岡市早良区、春日市・筑紫郡などで勝利。7つ上乗せして12議席となり、第2党に躍進した。県知事選に敗れ「野党」となった民主だが、県議選は福岡市議選と同様、大幅に議席を増やした。今後の議会運営が注目される。
本紙が注目したのは福岡市中央区(定数3)。現職3人に挑んだ、民主新人の松隈一博だ。松隈は代議士の秘書を務めるなど長く選挙に関わってきた。その経験を活かし、独特の選挙戦を展開した。
まず告示前は朝・昼・夕の街頭演説。そして告示後は選挙カーでの遊説。選挙活動は基本的にこれだけ。ビラの配布や演説会・集会の類は原則として一切おこなわず、家族らが前面にでることもない。わずかな運動員と本人のみで戦った。
背景には同区独特の事情がある。オートロック付きのマンションが増え、単身者や転勤族が多い。有権者の「横のつながり」が希薄な上、ビラ配布もままならないため「従来のやり方では票はつかめない」と判断。民主に吹く「風」を受けつつ、演説などで知名度アップを狙う戦術に特化した。
結果的には、旧来の企業選挙を展開したベテラン、早麻清蔵に敗れはしたものの、わずか1300票差と肉薄、約1万1300票を獲得した。都市部における選挙のあり方に一石を投じたといっていいだろう。
今回、ベテラン議員が薄氷を踏む勝利を収めるケースが目立った。特に福岡市議選においては、さまざまな会合に普段から顔を出すなどこまめに市民と接し、身近な存在として認知された者が当選する傾向が、より強まったといえそうだ。
強固な組織を頼りに確実に議席を確保する―という手法だけでなく、無党派層を取り込むための「地域選挙」の戦術も必要な時代なのではないだろうか。

