P社との調停 全容明らかに 柳川市 提案を「丸飲み」 [2008年10月20日10:38更新]

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(08年10月号掲載) 

閉鎖されたままのP社工場柳川市の懸案となっている、P社化粧品工場跡地問題。市は昨年末、P社側に損害賠償を求める意志を見せ、今春から同社と柳川簡裁で調停を進めているとされてきた。だがこれまでその内容は、公にされることは一切なかった。

このほど本紙は、調停内容に関する文書を入手。それによると、P社は「アスベスト除去費用などは最大半分まで負担する用意がある」と主張。市側はそれにほとんど反論することなく、合意寸前であることが明らかになった。

議会に諮ることなく処理費用の大半が市の負担となりそうな状況に、議会・市民の反発はさらに強まりそうだ。



 

問題の土地は旧大和町が石田町長時代の03年、5億4000万円で購入。合併による新柳川市発足後、購入価格が周辺の相場と比べて妥当だったかどうかなど数々の疑惑・疑問が噴出した。さらに工場建物にアスベストがあることが発覚、敷地内に産業廃棄物を埋めていたことも明らかになった。

議会は「これらの処理費用はP社側に請求するべき」と市執行部に要求。市側も昨年末、損害賠償を求める意志をP社側に示していた。これに対しP社は簡裁に調停を申し立て、今春から6回に渡って双方の話し合いが持たれていた。

「最大で半分負担」 P社の提示は「最終案」

本紙が入手した文書によると、調停はP社の申し立てを受け3月から始まった。P社は「瑕疵担保責任は存在しない」などと主張。その一方で、アスベスト処理については「市民の意向や私企業の社会的責任を考え、半分を負担したい」との考えを明らかにした。

柳川市側は昨年末の段階でアスベスト除去費用として約1億2400万円を請求。しかし調停ではP社側に対して特に反論しないまま。

P社は8月の調停で「双方が費用を半分ずつ立て替えてアスベストの分析調査を行う」「その結果撤去費用が算定されれば、最大で半分まで負担を受け入れる用意がある(注:太字=本紙)」との調停条項案を「最終案」として提示していた。 

両者合意寸前 結局は市が負担!?

調停をめぐっては、これまで再三議会で進行状況を問われていたが、市執行部は一切内容を明らかにしなかった。また一部市民が情報公開制度を使って、この間のやりとりについて資料を明らかにするよう求めたが、市は「資料は不存在」などとして応じなかった。つまり、執行部は一貫して情報を隠してきたわけだ。

そのためか「市は土地を民間業者に売却するつもりだ」などと囁かれる事態に。だがその裏では、P社側の要求を「丸飲み」する形で調停は進行し、まもなく双方が合意する段階となっていたのである。

土地の購入額はもともと5億8000万円。大和町は工場解体費として4000万円を差し引いて支払った。合意した場合、処理費用がこの額を超えれば新たな市の支出になるし、P社が「最大で半分負担」としている以上、「すでに4000万円払っている」と主張してこれ以上払わなければ結局、処理費用すべてが市の負担となる可能性もある。

そもそも、アスベストのある建物を大和町が購入することになった経緯について(双方とも「事前に知らなかった」としている)、どちらに責任があるのかすらあいまいなまま。にもかかわらずこうした重要な事柄が議会で審議することなく秘密裏に決まろうとしていたことになる。

反発を強める 市民、弁護士ら

本紙はこれまで「市は密室で結論を出すのがシナリオ。調停の行方をチェックする必要がある」と指摘してきた。これが現実になろうとしていたのだ。

この土地売買をめぐっては一部住民が「不当な手続きによって土地を購入し、住民に損害を与えた」などとして石田市長を相手取り5億4000万円の返還を求める訴訟を起こし、現在福岡高裁で審理中。

住民の代理人は「今回の調停を見る限り、市が売買の経緯や瑕疵の事実をことさら隠そうとしていることはさらに鮮明になった」とした上で「市は1億2400万円の除去費用を求めているが、これは本来購入額から差し引かれるべきで、不必要な支出をしていたことになる。契約が著しく合理性を欠いた証拠」と指摘。今回明らかになった調停内容が、住民訴訟の行方にも影響を与えそうだ。

「密室でのやりとり」によって幕引きを図りたかったのだろうが、逆に今後、あらためて市の姿勢が問われることになるのは、間違いなさそうだ。