(09年2月号掲載) 自立支援とは名ばかりで、むしろ障がい者の自立を妨げる─との批判が強かった「障害者自立支援法」が司法の場で裁かれることになった。 この法律は2006年4月、それまでの支援費制度にかわって施行された、障がい者福祉制度。支援費制度では「応能負担」といって、収入に応じて利用料を支払うため、6~8万円の障害基礎年金しか収入のない多くの障がい者はほとんど負担しなくてよかった。 しかし、自立支援法では収入に関係なく定率の利用料を支払う「応益負担」となったため、少ない収入の中から7000~8000円の利用料を負担しなければならなくなり、さらに障がいが重く、多くのサービスを利用しなければならない人ほど多額の利用料が必要となる矛盾も生まれた。 これに対して、1都2府5県の障がい者29人が昨年10月、1割負担は障がい者の生きる権利を侵害しており違憲だとして、全国8地裁に提訴したのだ。九州からは福岡県田川市の通所授産施設「第2つくしの里」に通う平島龍麿さん(40)がただ1人原告に加わり、今年1月30日、福岡地裁で第1回口頭弁論が開かれた。 行政からのサービスを受ける以上、その1割を負担するのは自己責任で当然ではないかと思う人もいるかもしれない。しかし、障がいは果たしてその人の責任だろうか。 社会には必ず一定の割合で障がいを持つ人が生まれてくる。障がいを持つ人はさまざまな支援を受けなければ、健常者と同じような社会生活を営むことはできない。その支援が福祉サービスであり、単なる受益ではなく人間として生きるのに必要不可欠なものなのだ。 実際、自立支援法施行後、負担に耐えきれずに作業所を退所したり、障がい者とその親が将来を悲観して無理心中を図ったりする事件も起こった。政府もその影響の大きさに2度にわたる利用料の軽減措置をとらざるを得なかったことが、この法律の問題点を浮き彫りにしている。 原告となった平島さんは、35歳の時に四肢の機能低下が進む難病を発症。それまでの金属加工の仕事が続けられなくなり、2年前から「第2つくしの里」に通所して、クッキーなどを焼いている。 月の工賃は8000円から9000円。これに対して利用料と給食費で約8000円かかる。平島さんの場合、現在は障がいは軽度だとして障害基礎年金は認められていない。 自立支援法は就労に向けての支援が目的とうたっていたが、これでは働く意欲を全く削ぐ結果にしかならない。「自立支援法はたちの悪いブラックユーモアだ」というのもむべなるかなだ。 裁判は1月22日に滋賀・大津地裁、2月5日に広島地裁、同10日に大阪地裁でそれぞれ第1回口頭弁論が行われ、今後も全国に広がっていく。福岡では1月24日に「訴訟の勝利をめざす福岡の会」が設立され、支援者を募っている。 《「福岡の会」事務局》
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自立支援法違憲訴訟 障がい者の生きる権利問う [2009年3月16日09:57更新]
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