なぜ今ごろ報じるの? 水増し疑惑報道に見るマスコミの論理(1) [2009年6月8日09:48更新]

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(09年4月号掲載)

福岡市立こども病院(中央区唐人町)福岡市立こども病院(中央区、写真)の移転計画に絡み、現地建て替え費用の試算を市が1.5倍に水増ししていた疑惑が今年1月、読売新聞の報道をきっかけに大手マスコミの紙面などをにぎわせた。

これをきっかけに市民らの関心や反発が高まり、吉田宏市長が刑事告発されるなど、事態は急展開を見せている。 

だが、この問題はすでに昨夏、公になっていたにもかかわらず、まるで初めて発覚したかのように報じるマスコミに、一部の関係者は不信感を隠さない。試算をめぐる疑惑は一般には理解しがたいマスコミの身勝手な論理をも浮き彫りにしている。



 

「今ごろになってなぜこの話をあんなに大きく扱うのか理由が分からない。読売さんはまだ何かネタを握っているのでは─とずっと疑心暗鬼です」。こう話すのは、病院の移転計画に関わる市職員だ。 

この問題は、コンサルタント会社が出した、病院を現在地で建て替えた場合の費用の試算について、市がゼネコンに再見積もりを依頼し最終的に1.5倍の約128億円にした、というもの。読売新聞が1月、1面トップで報じ、他のマスコミもこれに追随した。 

だがこの事実はすでに昨年夏、一部マスコミが報道するなど公になっていた。

「あの時きちんと・・」  

筆者が知る限り最も早く報じていたのはRKB毎日放送で同7月末。市が委託したコンサルタント会社が最初に85億円という試算を提出していたこと、1.5倍という数字の根拠はゼネコンに聴いたとしながらも「それを記したメモは残していない」と職員が話していることなどを伝えた。 

その後、患者家族らの団体が試算の水増し疑惑について市に申し入れを行い、マスコミ各社にも「報道してほしい」と資料を配った。だが読売、西日本新聞などほとんどのマスコミはこれを黙殺した。「すでに市民への説明会は終わっていたけど、9月議会で土地取得が決まる前だった。あの時点で各社が今のようにきちんと報じてくれていれば・・」(同団体の佐野寿子代表)。 

本紙も8月号で短くではあるが報じた。また10月には決算特別委員会である市議が問題を取り上げ、約1時間に渡って質疑が繰り広げられた。 

人工島移転の方が現地建て替えよりも安上がり─と市は繰り返し主張していた。128億円という試算はその大きな根拠。もしこの数字が、実はかなりいい加減、あるいはねつ造された可能性があることが市民に広く知らされていれば、展開は確かに変わっていたかもしれない。

地元紙の社説

「福岡こども病院 なぜにあなたはそう急ぐ」

こんなタイトルの社説が西日本新聞朝刊に掲載されたのは3月16日。これを読んでわが目を疑った。 

(続く)