(09年4月号掲載) その上で「今年に入って、こども病院の移転反対運動に再び火が付いた。現地建て替えの試算をめぐる不正確な議会答弁などが明らかになったのだ」 「微妙な言い回しですね。事情を知らないとも、知っててこう書いているとも読める(苦笑)。まあ、地元紙としての立ち場、プライドとかもあるんでしょうけど、今さらこんな風に書かれてもねえ・・」(ベテラン記者)。 社説は「このままでは市長にごり押しの印象が残り、議会の威信も傷ついたままだ」と結んでいる。 「地元紙の威信」は傷ついていないのだろうか。 メディア業界では、他社が先行して報じた記事(スクープ・特ダネ)を後から書くことを「追っ掛け」という。そして記者という人種の多くは、この追っ掛けを嫌がる。ではなぜ今回、各社一斉に追っ掛けたのか。 「全国紙が1面トップでやったから。それだけでしょう」と先のベテラン記者。「ニュースバリューは、事実の中身ではなくそれを報じた媒体、扱いの大きさで決まることがある。それがこの業界の常識。知っててずっとネグってきたけど読売が書いたから仕方なく・・って感じですかね」 筆者の経験。全国紙が報じたニュースを追っ掛けるべきかどうか議論した時、あるデスクは「中身どうこうじゃねえんだ、A紙が書いたらそれがニュースなんだよ!」と怒鳴った。これが、ニュースが作られている現場の実態である。 記者として仕事を続ける中で、一般感覚とかけ離れたメディアの独りよがりな論理に辟易とすることが多々あった。今回の試算水増し疑惑についても、これまで無視してきたことを悔いている記者はほとんどいないだろう。そうでなければ、先のような社説を掲げることはできないはずだ。 最近は、「マスコミは伝えるべきニュースをきちんと報じていないのではないか」と批判的に見る人が増えてきている。読者・視聴者の冷ややかな視線を、マスコミもそろそろ認識するべきだと思うのだが─。
西日本新聞(写真)3月16日付朝刊掲載の社説は、移転計画に対する患者らの反対が強いにもかかわらず市の説明や議会での議論が不十分だったことを指摘。
なぜ今ごろ報じるの? 水増し疑惑報道に見るマスコミの論理(2) [2009年6月9日10:49更新]
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全国紙が書けばそれでニュース
一般の感覚と乖離したマスコミの論理

