えにし(縁)フォーラムより 韓国観光公社福岡支社長 金萬眞氏(09年5月号掲載) 外国人が多い少ないではなく、人々の気質が開放的で親しみやすい。外からの人間もすぐに溶け込める素地があって、この点は東京や大阪でもかなわない。 韓国と日本の交流を増やしていくのが私の仕事です。観光客の数といった量的なものだけでなく理解度なども求められる。 それにはお互いの文化的・歴史的なつながりを知ることが必要です。そうすればより深い交流ができると考えています。 福岡に来て驚いたのは、韓国を起源とする地名があちこちにあることです。 例えば早良(さわら)。福岡の人なら誰でも知っているこの地名が実は、韓国のソウルと同じ起源だと言ったら、皆さん驚かれるでしょう。 2つの地名はともに、古代の朝鮮半島にあった新羅の都「ソフル」に由来するんですね。福岡・佐賀県境にある背振(せふり)山もそうです。 こうした例は福岡だけでなく九州各地で見られます。鹿児島にはそのままずばり韓国(からくに)岳もある。古くから非常に近い関係だったということが分かるでしょう。 また両国とも漢字文化ですから、言葉にも多くの共通点があります。 高速道路、約束、新聞記者・・。いずれの言葉も発音はほとんど同じ、意味も同じです。みなさんが「こうそくどうろ」「やくそく」と普通に発音すれば、韓国人は理解できる。このような言葉は相当ありますね。 たくさんの似ている点がある一方で、お互いの気質で最も違うなと思うのは、人と付き合う時の「距離の取り方」ですね。 韓国では知り合いになるとどんどん相手との距離を縮めていく。友達の家に招かれたら、断りもなく平気で冷蔵庫を開けたりする。それが普通。「友達なら当然」というわけなんですね。相手との距離がどれだけ縮まったか、どれだけ「精神的なスペース」を共有できたか、それが親密度に比例すると考える。 日本は逆でしょう。相手に配慮し「○○してもいいですか?」と断りを入れたり、遠慮したり。 韓国には「過門不入」と言う言葉があります。門を過ぎたのに入ってこない。どうして入ってこないの? 私たちは友達じゃないの? ですから、同じことを韓国ですると他人行儀だと受け取られ、相手の機嫌を損ねてしまいます。 とにかく、韓国人と接するときには何事も軽く応じることですね。無理なお願いでも遠慮なくする方がいい。むしろ逆に「それだけ自分が頼られている」と喜ばれるくらいです。 日本ではここ数年の韓流ブームのおかげで、韓国のドラマや音楽などがすっかり定着した感があります。実は韓国でもまったく同じ現象が起きているんです。 かつては映画などの日本文化が禁止された時代もありました。ですが最近ではどの書店にも必ず日本書籍のコーナーがある。居酒屋や日本酒などもブームになっています。 例えばキムチなどは今でこそ日本のどこででも普通に食べられますが、以前はそうではなかった。「ニンニク臭い」とか、抵抗感がある人もいた。韓国でもそうです。日本の文化に対してやっぱり抵抗感があった。お互いの庶民文化を抵抗なく受け入れられるようになったのは、せいぜいここ10数年といったところではないでしょうか。 このことはお互いにとって実に素晴らしいことです。そう考えるとドラマ「冬のソナタ」は、両国歴史上の大事件だったと言えるかもしれませんね(笑)。 両国の交流に直接関わる仕事に携わる者として、3つのビジョンがあります。 1つ目は「韓流和風」。異なる文化が当たり前のよう一緒に存在する、本当の意味での文化的融合を目指す。 2つ目は草の根的な、特に高齢者を対象とした交流を増やすことに知恵を絞りたいですね。 3つ目は交流を増やすためのインフラ整備。「日韓海底トンネル」といった発想が当然あっていい。夢としてではなく目標として捉えるべきです。 もし人と同じように国家にも年齢があるとするなら、1歳は100年=1世紀に当たると私は考えています。現在は21世紀。つまり両国とも21歳になったばかりの青年というわけですね。 これまで何度かけんかもしたし、お互いそっぽを向いていた時代もあった。こういったことは子どもの時分にはよくあること。ですがわれわれはもう大人、それにふさわしい付き合い方をしていくべきでしょう。 これから30歳、40歳とゆっくり時間をかけ、成熟した大人の関係を築いていきたいものです。 【金萬眞】 <キム・マンジン> えにし(縁)フォーラム ★本紙があらためて取材、再構成しています
一言で言うと、福岡は日本でも特別な存在ですね。「国際都市」だと感じます。
1966年、韓国・全羅北道生(42歳) 福岡市在住
90年、 同観光公社入社 名古屋、仙台支社などを経て現職
趣味は日韓の古代歴史書を読むこと、家族との温泉地めぐり
党派、宗教、団体など組織を超えた「異文化交流」を目指し、多彩な人物が卓話を披露。開催は12回を数える。
【お耳拝借!】新時代迎えた日韓交流 [2009年6月5日09:08更新]
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