麻生総理の地元に異変(2)不満、イラ立ちの標的に!? [2009年7月22日11:40更新]

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麻生氏の事務所そばのポスター麻生財閥系列の病院の向かいにある、ビルの1階に立てられたプレハブ。山本剛正氏が演説を行っていたほぼ同時刻、麻生太郎氏の選挙事務所はまったく人気がなかった。周辺に立てられた幟(のぼり)やポスター(写真)もごくわずかだ。

「今はまだ、こんな感じですよ。まあ、選挙が始まったって、どうせ本人はほとんど地元に戻って来んのでしょうけどね」(近所の住民)。 



 

総理に就任する前後、メディアが取り上げる際には必ずと言っていいほど「国民的人気を誇る・・」との“枕詞”が付いた麻生氏(いまやそんな表現は皆無であるが)。だが少なくとも地元を見る限り、当時から「それは一体どこの国のことか」と首を傾げたくなるような状況だった。

飯塚市の中心部を歩くと、筑豊地方最大のこの街も、経済的に疲弊し切っているのがよく分かる。人通りが少なく商店街はいわゆる「シャッター通り」と化し、夜の歓楽街も「これで店の経営が成り立つのか」と思うほど。今月上旬には、地元商店街の中心的存在だった飯塚井筒屋が8月末での閉店を発表した。

「景気対策を優先する」。麻生総理は一貫してこう言い続けてきた。だが一向に好転しないどころか悪化するばかりの地元経済。

「自分の傘下の企業はますます肥え太っているのに、私たち庶民はやせ細るばかり。総理が出たっていいことなど1つもない」。激しい口調で不満をぶちまけるのは、地元のタクシー運転手だ。「多くの連中がはらわたが煮えくり返っている。相手が麻生財閥だから、本音を押し殺してきただけ。だが今度ばかりは・・」

今回の総選挙で、不満と怒りが「地元選出の総理総裁」に向けられるのは間違いなさそうだ。

 

では、現段階での情勢は実際のところ、どうなのだろうか。

街の有権者の話を拾ってみる。現政権を明確に支持する者はなかなかいないが、「このまま自民政権を続けたらだめだ」「一度民主に任せてみてもいい」との声はよく聞かれる。

その一方で「自民もどうかと思うけれど、かと言って、あんな若い人間が国会に行って一体何ができるというのか」と民主候補を不安視する者や「麻生さんは時期が悪かった。今なら誰がやっても一緒、少しかわいそう」と総理を擁護する声も。

地元の民意はまだ揺れている-これが、率直な感想である。

 

「何だかんだ言っても、やはり麻生氏は現職総理大臣。『腐っても鯛』で、優勢なのは間違いない」。こう話すのは地元のマスコミ記者だ。「ただ、山本氏がかなり追い上げているのは事実です。このまま行けば、比例復活の可能性は十分あるでしょう」

前回総選挙(05年)で麻生氏は約14万5000票を獲得、2位の民主公認候補に5万7000票あまりの差をつけて圧勝した。だが今回は共産党が立候補者の擁立を見送っているために、2~3万の票が「反自民票」として民主候補に丸乗りする可能性もある。「この点も含めて考えると、少なくとも前回のような大差がつくことはあり得ない」(前出マスコミ記者)。

 

現職総理の地元で、無名の新人が比例復活-こんな異例の事態が、はたして現実となるのだろうか。