次期衆院選 県内選挙区の情勢(2)「焼け野原」の可能性も [2009年7月29日09:15更新]

タグで検索→ |

noimage

(09年7月号掲載)

街頭演説する稲富氏(7月12日、福岡市・薬院)2区の山崎拓氏に挑むのは07年の知事選にも出馬した稲富修二氏(写真)。同年11月の出馬表明以降、若さを武器に地道な活動を続けてきた。

劣勢が囁かれた山崎陣営関係者は昨年から必死に追い上げ、年明けには「逆転したのでは」との声が一部のマスコミから漏れるほど。だが小沢一郎氏が党代表を辞任すると、流れは一気に稲富氏に傾いた。



 

山崎拓、古賀誠両氏はともに一部の地元県議・市議から反発を買っている。表面上は支援しながらも実際は足を引っ張る、あるいは何もしない者が出る可能性は十分。また、都議選の結果から明らかなように自民への逆風は尋常ではなく、しかも大物であればあるほどそれが強まる傾向が見られる。

両選挙区の結果が、今回の総選挙を象徴する形となるかもしれない。

「他よりはまし」 例外的な6区・鳩山邦夫氏  

4区(宗像市、糟屋郡など)、5区(筑紫野市、朝倉市など)、9区(北九州市若松、八幡東区など)は大接戦。「正直、どちらに転んでもおかしくない」(あるマスコミの政治記者)。 

3つの選挙区に共通するのは民主陣営の組織があまり機能していないこと。その点、自民の3現職は公明とがっちり手を組み、組織的な動きを展開している。「この辺りが結果にどう影響するか。大きなポイントになるかも」(同)。 

 

民主が優勢に進める、あるいは接戦を繰り広げている選挙区が多い中、例外的なのは6区(久留米市、大川市など)の鳩山邦夫氏だ。 

鳩山氏は麻生内閣発足と同時に総務大臣に就任。その後、かんぽの宿一括譲渡問題で日本郵政に対して調査を実施していくことを明言、また同社社長の進退問題をめぐって辞任した。この一連の騒動でマスコミへの露出も大幅にアップ、「有権者に『筋を通す政治家』という好印象を与えた」(地元関係者)。

とは言っても、現状では「他のベテラン現職よりはまし」といった程度。最近も「自殺には何らかのDNAが働いていると考えられる」と、自殺と遺伝を関連付けるかのような発言があり(7月12日)、「失言癖」は相変わらずだ。

この辺りを有権者がどう判断するかだが、ひょっとすると、選挙をにらみ麻生政権とうまく距離を置いた-一連の騒動は「見事な戦略だった」と、後で評価されることになるかもしれない。

麻生総理ですら・・ 逆風まともに受ける可能性も 

通常であれば何の問題もなく“当確”が打たれるはずの現職総理。だが今回ばかりは麻生氏(8区=飯塚市、直方市など)も安穏としてはいられないようだ。

自民に対する逆風を、総理総裁としてまともに受けてしまう可能性もある。一部マスコミも、8区の動向に注目している。 

衆院選 自民・民主立候補予定者(1-10区)

最近の地方選挙では民意が大きく作用するのがごく当たり前となっており、従来の組織力など簡単に飲み込んでしまう。このまま総選挙に突入すれば、自民にとって「焼け野原状態」となる恐れも否定できない。