(10年9月号掲載) 8月28日の臨時常幹終盤。ある若手国会議員はこう言い切った。「江藤市議が常任幹事を辞任するなら現職の推薦に同意する」 また別の若手国会議員は「(吉田陣営が借りた中央区春吉の事務所について)どうして自民党の山崎拓氏(09年衆院選)、大家敏志氏(10年参院選)が使った場所なのか。そんな事務所に出入りできるわけがない」と怒りを爆発させた。 現職支持派と反現職派の溝は結局埋まらず、執行部は (1)現職推薦を決定する (2)9月11日に政策協定を結ぶ (3)政策については協定調印までにすり合わせる (4)江藤市議らを中心に選挙態勢を構築する ─などと提案、了承されて「一件落着」となった。 この日の常幹終了後、記者会見した古賀一成代表(写真中央)や江藤博美市議(同右)ら民主県連幹部。ほっとしたのか時折笑顔がのぞく。 「表向き誰が何と言おうと、現実は江藤市議とそれ以外に割れてしまったということだよ」(ある国会議員)。 一連の経緯、常幹でのやり取りを振り返ると、「市民・政策不在」ともいうべき民主市議団の姿が浮き彫りとなって来る。 まず吉田市政への総括。自らの地元以外の地方選挙に関して意見を述べることは、政治の世界では一般的に極めて失礼とされる。ましてそれが当事者である市議団の意向に反する内容であればなおさらだ。 それをあえて行ってほぼ全否定された以上、結論は誰が見ても明白である。そもそも、公約はほぼすべて達成されたと考える市民が一体どれだけいるのだろうか? 県連内部に生じた現職推薦への反発は、吉田氏の市長としての資質が「身内」から否定されたことにほかならない。それでもなぜ市議団は現職に固執するのか。 「市議団、つまり江藤市議の強硬な姿勢の裏にあるのは前幹事長S県議に対する対抗心とメンツだけ」(ある国会議員)。これが本当であれば、福岡市民にとってはどうでもいい事ばかり、実に下らない。 「江藤市議は目先の利益だけで中長期的ビジョンがまったくない。こんなことでは選挙に勝ったとしても市民のためにならない。ま、勝手にすればいい」 「あまりに低レベルな議論ばかりで嫌気が差した」 「市長選? 私には関係ないから」 国会議員からはこういった声が次々と漏れて来る。 2期目の選挙に臨む吉田市長、そしてそれを支える江藤市議ら。現状を見る限り、両者は県連内部で完全に孤立してしまっている─こう結論付けざるをえない。
福岡市長選 現職再選に暗雲!?(3)ごり押し市議団とともに孤立 [2010年10月8日12:11更新]
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市民・政策不在の民主市議団