(11年1月号掲載) 昨年11月号でみやま市(西原親市長)の民間病院移転問題を報じたところ、市民から「市政の実態をもっと報じて」との声が寄せられた。そこで今回は同市政治倫理条例をめぐる騒動を取り上げたい。 政倫条例の施行後、同市議会議長がこれに抵触していた疑いが発覚。ところが議会では、疑惑の追及どころか「条例を改正すべきだ」と問題がすり替えられ、その結果、事実究明の動きは立ち消えてしまった。 結局、議会で散々もめた末に新条例が策定・施行されたが、一方で議長の「疑惑を招く行為」は今にいたるまで続いている。 市議会の体たらくぶりに一部の市民や市議から「何とかして変えなければ」と焦りの声が漏れている。 みやま市で市議を対象とした政倫条例が制定、施行されたのは07年8月1日。市議本人や配偶者、2親等以内の親族が役員を務める企業、市議が実質的に経営する企業は市発注の工事を受注できないとする内容。さらに、その職務に関して不正の疑惑を持たれる恐れのある行為をしない─などと定められている。 こうした内容の政倫条例は多くの自治体で採用されており、それらと比べてもみやま市の条例が特別厳しいわけではない。ところがマスコミが同年末、「議長の親族が役員を務めていた土木会社が市発注工事を受注していた」と報じ、条例をめぐる“迷走”が始まった。 関係者の話やこれまでの報道を総合すると、問題とされた土木会社は議長の妻が代表取締役、長男が取締役を務めていた。だが条例施行前日の07年7月31日、妻と長男はともに役員を退任した。 同社は同年10月、市発注の上水道工事を落札。市水道課は「書類上は問題なかった」としたが、同社は議長の自宅と同じ建物の1階にあり(自宅は2階)、電話番号は自宅と同じだった。 そのため一部の市議などから「条例に抵触しないよう施行直前に親族を役員から外し、その上で工事を受注したのではないか。事実上の脱法行為だ」「少なくとも『不正の疑惑を持たれる恐れ』には該当する」などと批判の声が上がった。 議長は「私は経営に関与しておらず(妻らが役員を退任した)経緯はまったく知らない。本人たちが変えたのではないか」などとマスコミに対し答えていた。 翌08年1月、一部市議が事情説明を求めたものの議長はこれに応じなかった。その上、議会では疑惑の追及ではなく「現行の政倫条例は厳しすぎる」「時間をかけて見直すべきだ」と、条例そのものを問題視する意見が大勢を占めたのである。 (続く)
でたらめなみやま市議会(1)議長の疑惑に「政倫条例あるから悪い」 [2011年2月21日12:35更新]
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