揺れる大分・別府(1)大型商業施設めぐり「市長の代理人」が暗躍 [2011年3月7日10:00更新]

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(11年2月号掲載)

竹瓦温泉から見える「ゆめタウン別府」

福岡をはじめ全国から多くの観光客が訪れる温泉地・大分県別府市(浜田博市長)が揺れている。

07年に市の中心部にオープンした大型商業施設が、関連事業を地元企業に業務委託する際に「市長の代理人」と称する人物が介在し、複数の企業から紹介料として多額の現金を受け取るなどしていた疑惑が浮上したからだ。

大型商業施設は住民の反対にもかかわらず浜田市長が強引な手法で誘致を決定した経緯がある上に、「この人物が市長と近い関係にあるのは間違いない」との証言も。

事実であれば誘致決定の正当性・妥当性があらためて問われることになるのは必至で、一部市議らが議会で追及する構えを見せている。



「市長権限」でイズミ誘致を強引に決定  

多くの商店街が交差する別府市の繁華街、元町界隈の一角にある趣深い木造建築物。1879(明治12)年に建てられた市営竹瓦温泉は「湯の街」別府のシンボル的な存在だ。

そんな竹瓦温泉から海岸線の方向を望むと、わずか100mあまり先に大きな建物が(写真)。スーパーマーケットチェーン「イズミ」(広島市)が運営する大型商業施設「ゆめタウン別府」である。 

大分県別府市 中心部地図

浜田市長がかつての別府港跡地、楠港跡の市有地(約2万㎡)に大型商業施設を誘致するとの意向を明らかにしたのは03年10月。翌04年1月に誘致企業の公募を開始、同8月に選定委員会がイズミを選んだ。

一方、市民からは商店街への悪影響を懸念する声が上がり、別府商工会議所は誘致の反対を決議。そのため市長は05年1月、「計画は当分の間、凍結する」と表明、イズミ誘致関連議案の議会提出を先送りした。 

ところが06年1月、市長は「機は熟した」などとして凍結を解除。これに反発した市民グループなどが誘致の是非を問う住民投票の実施を求め署名活動を展開、同3月、条例制定の本請求を行った。

市議会は条例制定にかかわる臨時議会を同4月に開会したが、浜田市長は住民投票を避けるために初日の本会議終了後に突然辞職。出直し選挙で再選を果たした直後の同6月、議会に諮ることなく「市長権限」でイズミ側と立地協定を結び、07年12月の開業へとこぎ着けた。

紹介料名目で数百万円  

「難産」の末にオープンしたゆめタウン別府。とはいえ、商店街をはじめ多くの市民の間では地元経済への影響を心配する声、また市長の強引な決定手法に対する批判が依然として燻っていた。

こうした状況も踏まえ、別府市はイズミとの立地協定に際して「業務委託は可能な限り地元企業を活用すること」と定めるなど、地域振興に協力するよう求めた。

「ところが、この業務委託契約をめぐってある人物が“暗躍”していた疑惑が、関係者の間で取りざたされている。イズミ側へ紹介するとの名目で地元企業との間に立ち、その見返りに数百万の現金を受け取るなどしていたのです」

ある別府市関係者はこう囁く。

(続く)