別府市長の「代理人」に新疑惑(3) [2011年4月27日14:56更新]

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(11年4月号掲載)

別府市役所なぜこのような会社が事業者になりえたのか。

ある別府市議は「新会社は設立されたばかりで実績がまったくなく、入札応募時点で従業員は0人。事業者としての条件を欠いていたにもかかわらず浜田市長は『九州重環の事業を承継しているから特例だ』として強引に決めてしまった」と語る。 



まとめてみよう。

(1)別府市などが運営するごみ処理施設の焼却炉運営業務を委託されていた九州重環オペレーション別杵事業所で、労組が設立された。これにX社長や暴力団幹部が関与していた

(2)同労組の役員が新会社の別府環境エンジニアリングを設立。組合や暴力団幹部の圧力によって、九州重環社は事業からの撤退と事業所の閉鎖を決定し、新会社がほぼ同額の委託料で業務を引き継いだ

(3)別府環境社は事業者としての条件を欠いていたが、浜田市長が「特例だ」として同社に決めた

(4)新会社への業務移行とともに、一部の従業員が明確な理由もなく不採用となった。これに伴って人件費が削減されたにもかかわらず従業員のボーナスがカットされ、一方で一部の幹部は高額の給与を得ている 

別府環境社への委託料はもとを正せば別府市・杵築市・日出町の住民が納めた税金だ。極めて公共性が高い事業であり、これにX社長や暴力団幹部が関与しているならば大問題である。

また幹部が多額の給与を得ながら従業員の所得は減らされるなど委託料の使途が不透明である以上、何らかの名目でX社長らに流れている疑いも出てくる。当然ながら広域圏組合は実態を調査しなければなるまい。 

とは言え、組合トップである管理者は他ならぬ浜田市長。元従業員はこう証言する。「去年の6月25日、浜田市長に市長室で会い、不可解・不透明な会社の実態を訴えた。市長は『次の予定が詰まっている』と話に消極的だったが『私は今回の件の流れをすべて知っています』と言ってX社長の名を出すと、うろたえていた」 

「実は、X社長の息子が今月の市議選に立候補する予定だった。X社長は夜の街で酔客らにパンフレットを配りながら『別府市民はバカだから選挙などどうにでもなる』とうそぶいていた」(ある市民)。本紙が入手したそのパンフレットにはこう書かれてある。 

「別府の未来をいっしょに変えよう」 

*           *           * 

本紙は3回に渡って別府市政の問題を報じてきた。今回取り上げたゴミ処理事業については別府環境社の件だけでなく、新施設建設を請け負う業者を選定する際も入札額が約12億円も高い企業グループが落札するなど、「不可解な点が多い」と批判が噴出した。

それでも組合トップの浜田市長はゆめタウン誘致と同様、すべてを押し切って決定。そのため先述の暴力団幹部らがこの企業を選ぶよう圧力を掛けたのでは─との噂が関係者間で燻っている。

   

市民の声や議会の追及を無視する形で進められる施策─例えば福岡市ではこども病院の人工島移転─の裏には必ず「真の狙い」がある。

だが執行部ベッタリの議会や取材能力・知的レベルの低いマスコミのおかげで市民にはほとんど伝えられない。税金を食い物にしながら陰で高笑いしている連中が大勢いるというのに。 

人のふり見てわがふり直せ。別府の例を知ることで、福岡の読者にはあらためて行政チェックの意識を高めていただければと思う。