別府市長の「代理人」に新疑惑(2)暴力団幹部「利権に命かける」 [2011年4月26日13:17更新]

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(11年4月号掲載)

大分県別府市のゴミ処理施設「藤ヶ谷清掃センター」関係者の証言を総合すると09年3月ごろ、九州重環オペレーション別杵事業所で「従業員の雇用を守るため」として労働組合結成の話が急に持ち上がり、26人中25人が組合に加入させられた(後に3人が脱退)。

「同29日に藤ヶ谷清掃センター(写真)内の事務所で組合の結成式が行われたが、この時X社長と、ある社員の実父が一緒に白い高級外車に乗ってやって来た。X社長らは事務所に入ると、組合員の名簿をチェックしていた」(九州重環の元従業員)。

大分県警関係者によると、この社員の実父は熊本に本部を置く暴力団の幹部と認定されているという。 



労組役員が新会社・別府環境エンジニアリングを設立したのは10年2月。暴力団幹部の実子は取締役となった。だがこの事実や、九州重環が別杵事業所を閉鎖する方針を決めたことは従業員にはまったく知らされず、翌3月末に突然「事業は新会社が引き継ぐことになったので採用試験を受けろ」と指示された。

約20人の従業員は面接などの試験を受けその結果、組合員6人が不採用となって解雇され、非組合員の4人は別の事業所へ異動した。

「ところが会社は試験の数日前までに、縁故で9人を採用することを決めていた。試験は形だけで最初から特定の人物を新会社から外すつもりだったのは明らかだ。一体何のための労組だったのか」(元従業員)。 

ある関係者は「別杵事業所で労組を結成したのは、スト権を確立し経営側に圧力を掛けて委託業務から手を引かせ、新会社で奪い取るのが目的。これには暴力団幹部も一役買っている。その上で意に沿わない従業員を追い払い、後は一部の好き放題。すべては労組出身のX社長が描いたシナリオ通りですよ」と解説する。 

また別の関係者は「暴力団幹部は、会社の方針に反発したり疑念を抱く従業員を脅して黙らせる役割も担っていた。09年頃から『おれはこの(ゴミ処理施設の建て替えに絡む)利権に命をかけている』と周囲に吹聴していた」と話す。

 ボーナスカットの一方で  

広域圏組合と委託契約を結び、九州重環の後釜に座ることになった別府環境エンジニアリング。だが現在「ボーナスが突然カットされるなど、でたらめな事態が起きている」という。 

同社関係者によると、10年夏のボーナスは従業員全員なし、同年冬には九州重環時代の4~6割しか支払われなかった。「夏には『会社が設立されたばかりだから』、冬は『幹部の使い込みが発覚したから』との説明を受けた。会社側は『金が余れば今年3月には一時金を支給する』と言っていたがそれも結局、出なかった」 

同社の収入は広域圏組合からの委託料がほぼすべてであり、これは景気動向などと関係なく定額である。新規採用された10人は日給月給制となっており、それだけでも人件費は九州重環時代より削減されたはず。なのになぜか、従業員のボーナスがカットされたわけだ。一方、一部の幹部の給与は、九州重環時代の約3倍になっているという。

 (続く)