惨状の中 東北人の忍耐強さに感銘 ガス復旧支援西光建設に聞く(2) [2011年6月27日11:08更新]

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(11年5月号掲載)

工事を行う西光建設社員(4月7日、同社提供)「西光建設」(福岡市東区馬出、高丘利勝社長)が主に行ったのは、地中に埋設されたガスの元管が破損していないかどうかの検査である。

地面を掘り返してガス管を数百mごとに切断、その両端をふさいで中に圧力を掛け、漏れがないかを確認。破損がなければ切断部分をつなぎ、さらに別の場所へと移動する(写真)

管の中に水がたまっていればそれを吸い上げて除去する。避難所となった中学校の体育館には約350mのガス管を新たに引っ張った。 



「知らない土地なので現場までの道が分からず、地図を手放せなかった。また寒さもこれまで経験したことのない厳しさで、仙台にはなかったが山形にはまだ2m近くも雪が積もっていた。そんな光景を見るのは初めてでした」(西光建設工事課・出口圭一郎さん)。 

「3度の食事は旅館が用意してくれましたが、肉体労働だけに特に昼は物足りなかった。最初はコンビニなどにも商品がほとんどなくてとても困りましたが、被災者のことを思うとまだ恵まれている、と我慢しました」(同・花田洋一さん)。 

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一行は4月12日に帰福したが、その頃までにはほぼ全戸でガス供給が再開されたという。

「阪神淡路大震災以降、より丈夫なガス管と取り替えるなど、業界全体で災害対策を進めてきた。おかげで今回は管の破損部分も少なく、復旧まで比較的短期間ですんだようです」(高丘社長)。 

 

「東北人の素朴さ、忍耐強さには感銘を受けた。福岡から来たと知ると大変な状況にもかかわらず『遠くからわざわざありがとうございます』と声を掛けてくれる。そんな人柄に触れ、帰る時には後ろ髪を引かれる思いでした」(花田さん)。 

「作業を行っていると住民からいつガスが流れるのかと聞かれる。お願いしますと言われる度になるべく早くしますと答えるしかなく、とても辛かった」(出口さん)。それでも「与えられた仕事はやり切った」 

西部ガスには3月末以降、被災者や九州に住む東北出身者からお礼のメールなどが届けられているという。