暗礁に乗り上げるか? 別府・浜田市政(1)選挙運動疑惑で刑事告発 [2011年7月20日12:34更新]

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(11年6月号掲載)

別府市役所4月に行われた市長選で浜田博氏の4選が決まった大分県別府市。選挙後、浜田市長が記者会見で1市民を恫喝する発言をしたこと、また市役所ぐるみで市長の選挙運動を行っていた疑惑を、本紙5月号や地元メディアが報じたが、6月議会ではこれらの問題について一部の議員が浜田市長を追及することになりそうだ。

さらに選挙運動疑惑については市民が「市職員らの行為は公職選挙法で定められた公務員の選挙運動などの制限に違反する」などとして2副市長、市職員労働組合幹部らを刑事告発する準備を進めている。

厳しい選挙を勝ち抜いて船出した「浜田丸」。いきなり暗礁に乗り上げるのか・・。  



 

別府市6月議会の一般質問は同月20日から行われる。これまではほとんどが執行部べったりで、ごく一部の市議しか浜田市政の問題点を追及してこなかった同市議会。だが今回はやや様相が異なりそうだ。 

まず、当選翌日の記者会見であった、浜田市長の「恫喝発言」。報道によると、東日本大震災以降自粛が相次いだイベントに関し「別府夏の宵まつりの実施主体のリーダー(実行委員長)が残念ながら選挙で相手陣営に回った以上、まつりをまかせるわけにはいかない。実施する団体の在り方も考えたい」と語ったという。 

この発言を知った実行委員長(当時)は激怒。市関係者が「市長は良い人で正直な方、つい本音が出ただけ」などと取りなそうとしたがこれを拒否し「浜田市政に協力したくない」と自ら辞任を申し出て受理された。 

他候補を応援した罰として団体の役職からはずす─自治体トップによるこのような発言は浜田氏の市長としての資質、市政のあり方に関わる大問題である。それだけに3市議がこの件を取り上げる予定という。

2副市長ら4人を告発へ  

さらに、市職員ら数十人が浜田氏と市議候補の法定葉書の宛名書きをしていた問題。

市役所ぐるみで市長の選挙運動をしていたわけで、公務員が選挙運動などの政治活動を行うことを禁じた地方公務員法に違反するだけでなく、公職選挙法に抵触する恐れも。ある市議がこの件を取り上げる予定で、さらには市民が刑事告発へ向け準備している。
【編注】本稿は6月14日時点。この市民はこのほど、大分県警に告発状を提出した。 

告発状などによると、被告発者は友永哲男・阿南俊晴両副市長、三瀬正則・同市情報推進課長、市職員労組の梶原悟委員長の計4人。

選挙前の4月11日、臨時の部課長会と称する会合が市役所そばで開かれ、両副市長や部課長計約50人が集まった。ここで梶原委員長が、同労組が浜田市長の推薦を機関決定したことを述べた上で市長以外に投票しないよう依頼、「葉書の宛名書きを手伝ってほしい」と要請した。

職員は作業する日を割り振られ、同16日までの数日間、計数十人が葉書の宛名書きをしたという。 

以上の経緯から
(1)選挙で浜田氏以外に投票しないよう要請した梶原委員長の発言は明らかに違法
(2)友永・阿南両副市長はその場にいたにもかかわらず同委員長の要請を黙認、間接的に違法行為を助けた
(3)三瀬課長は浜田市長を支援する目的で同会会員ではない梶原委員長と共謀、部課長会代表幹事の名で会議を招集し、集会の手配などをして違法行為を助けた

─として、4人の行為は公選法と地方公務員法に違反する、と主張している。 

4月24日投開票の別府市長選は本紙報道の影響もあって大接戦となった。わずかな差で勝利し喜びに浸った浜田市長。だがその選挙戦に絡んで発覚した疑惑や不適切発言が、自らの首を絞める形となりそうだ。

(続く)