公金支出差し止め求め提訴 鹿児島・産廃処分場計画で反対派(1) [2011年8月4日10:41更新]

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(11年7月号掲載)

抗議行動をする反対派住民鹿児島県(伊藤祐一郎知事)が同県薩摩川内市で計画している産業廃棄物管理型最終処分場の問題で、建設に反対する地元住民ら10人が「用地の賃借代金が高額過ぎ、違法かつ不当だ」などとしてこのほど、公金支出差し止め訴訟を鹿児島地裁に起こした。 

同県環境整備公社は施設建設の着工日を7月11日としていたが、当日は反対派住民約100人が現地に集結、共同企業体(JV)による現場作業は見送られた。混乱を避けるためと見られ、同14日時点でまだ工事は始まっていない。 

反対派住民は着工を待って、建設差し止めの仮処分申請を行う方針。「反対運動は伊藤県政のあり方を正面から問うものになる」と本紙が指摘して2年あまり、ついに本格的な法廷闘争を迎えた。 



 

「水源と霊山を守ろう」。住民らのシュプレヒコールが山間に響き渡る(写真)。本紙が09年2月から報じているこの問題。予定地近くの「鎮国寺」(村井宏彰山主)の関係者をはじめ地元住民の強硬な反対にもかかわらず、建設工事は開始目前となっている。 

訴状によると、鹿児島県は処分場施設の建設用地約25万㎡を総額約5億円で2011年4月から28年3月まで賃借するとの契約を結び、3月県議会で債務負担行為が可決された。原告側はこれを「高額過ぎる」と主張。また、処分場建設について「必要性・採算性がなく、周辺住民の人格権を侵害する違法な事業だ」としている。

川内原発解体も想定?   

霊山として名高い冠岳の中腹、水源地でもある場所に位置する建設予定地。伊藤知事はなぜ、そんなところにこのような処分場を作ろうとしているのか。本紙が指摘してきた計画の問題点を再度、以下に示したい。

(1)建設予定地決定までの経緯があいまい 

(2)現地における調査や計画がずさん 

(3)住民への説明が不十分 

(4)特定の企業グループが事業に関係。処分場施設の設計・建設工事は地元の有力建設会社「植村組」を含むJVが約74億円で落札。予定地の所有者は「ガイアテック」で植村組の関連会社 

以上の点から本紙は処分場計画の本当の目的は、所有地を取得したり施設建設を請け負わせることで、植村組グループに便宜供与を図ることなのではないかと結論付けた(昨年10月号)。 

これに加え「知事は将来、薩摩川内市にある川内原発を解体した時に発生する廃棄物をここに搬入し処分するつもりなのでは」との見方が最近、地元住民の間で新たに囁かれている。 

同原発が間もなく耐用年数を迎える上、原発と処分場予定地が非常に近い位置関係にあることなどがその根拠だが、県はこうした住民の疑問にまったく答えていない。

(続く)