市政対立のツケ回る 柳川市職員 公文書偽造で書類送検 [2008年8月25日09:32更新]

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(08年8月号掲載)

旧柳川ホテル跡地これまでも再三報じてきた柳川市で、前市長時代に行った土地取り引きをめぐり、市職員が有印公文書偽造容疑で書類送検されるという「異常事態」が起きている。

議会は石田宝蔵市長に対し「実害が出ておらず、被害届を取り下げるべき」と批判しているが石田市長は「取り下げない」と1歩も引かない。

関係者からは、P社工場跡地の購入をめぐる問題など数々の疑惑が浮上していた石田市長が、前市長の「アラ探し」をすることで対抗した結果―との指摘も。いわば石田市長らの「対立の構図」のしわ寄せが現場の職員に押し付けられた形で、柳川市の現状を如実に示していると言えそうだ。



 

問題となっているのは、河野弘史・前市長時代に市が購入した旧柳川ホテル跡地(写真)。市は05年3月、駐車場として整備する目的で跡地約2300平方㍍の購入を土地開発公社に依頼。公社は民間から約1億2000万円で購入し市に引き渡した。

この後、書類の不備に気付いた職員が、市と公社との業務委託契約書に無断で河野市長の公印を使い、書類を偽造したとされる。

表面化したのは今年3月議会。「昨年6月、石田市長名で柳川署に被害届が提出されている。どういう被害なのか」と市議から問われた石田市長が「中身は分かってない」と答えたことから「自分で出しておきながら分からないというのか」などと追及された。

その後、すでに職員が書類送検されていたことがマスコミによって報じられた。 

事実上、被害なし

この問題は6月議会の全員協議会(全協)でも取り上げられた。

「(書類送検された)職員が1人だけでやったわけではない。早く被害届を取り下げるべき」とする市議に対し、石田市長は「取り下げる意思は全くない」と答え、お互い平行線のままだ。

当時の関係者によると業務委託契約書が「偽造」されたのは05年6月。市が公社に土地購入を依頼した時点でそろえていなければならなかった契約書が欠落していたため、職員が公印を使って作成したという。

許可なく勝手に公印を使用すれば、確かに有印公文書偽造の疑いがある。だが、すでに完了した土地購入の手続き上の不備を補うための行為であり、例えば公金を横領するといった行為とは根本的に違う。被害は事実上、まったくない。

しかも公印は総務課内の金庫に保管されており、総務課長がカギを保管している。現場の1職員だけの判断では実行不可能で、書類作成の行為が犯罪に当たるというのであれば、当然総務課長ら市幹部の責任も追及されるべき事案である。 

反市長派への対抗策

「今回の事件は、議会で様々な疑惑が取りざたされていた石田市長らが、前市長寄りとされる反対勢力への対抗策として探し出してきたのが発端です」。こう語るのはある市関係者だ。

石田市長は当選後、P社化粧品工場跡地問題などで議会や市民から激しく追及されていた。「これに対し市長派とされる市議から『河野市長時代の土地取引にも疑惑がある』と調査特別委の設置(賛成少数で否決)が提案された」(関係者)。

また、大泉勝利副市長は6月の全協で「被害届を出すことで、売買取り引き自体に問題があるという警察の捜査にも協力できる」と、前市長に疑惑があるかのような発言をしたという。 

だが柳川署による捜査は"本丸"であるはずの前市長の不正ではなく、1職員による「偽造行為」の摘発だけに終わった。 

石田市政の本質・現状を象徴

柳川市役所さらに全協では、実際に柳川署に被害届を出した総務部長がヤリ玉に挙げられた。石田市長が「被害届の内容は知らない」と答弁したことから、「では誰が出したのか」「総務部長が独断で出したのか」と集中砲火を浴びたのだ。

総務部長は「独断でしたわけではない」と答えたが、そうなると市長の「知らない」との発言と矛盾する。最終的には「事情聴取を受ける前にいろいろとあった。正確には覚えていない」とかわすのが精一杯だった。

「そもそも、中身が分からないまま被害届を出したという市長の発言はおかしい。知らなかったはずがない」。ある市議はこう憤る。「適当な発言を繰り返すから、どんどん矛盾が出てきて収拾がつかなくなる」

あるメディア関係者は「答えに詰まる部長の姿は、さすがに気の毒でした」と話す。

 

石田市長のその場しのぎの発言や思い付きによる行動のツケが、市職員に回されている現実。政治的思惑に端を発する今回の問題は、石田市政の本質を象徴する事件と言えるかもしれない。
(写真=柳川市役所)