図書購入費も黒塗りの怪 [2022年9月2日09:09更新]

春日市では、春日市民図書館をはじめ公共施設の指定管理者の「収支計画書」が黒塗りで公開されており、波紋が広がっている。

事の発端は、弊社記事「おやつ代と保険代を隠す学童保育」で報じた、 ㈱テノ.サポート(福岡市博多区)が提出した 令和2年「収支報告書」が黒塗りになっていたことだ。

実費で徴収しているおやつ代が 適正に使われているか 黒塗りで分からない状態だが、春日市はテノ社から非開示の要望があったため黒塗りにしたという説明をしている。
だが、筆者の知る限り、福岡県や近隣市町村で 公共施設の収支報告書が黒塗りで公開している自治体はない。

そして今度は、テノ社の「収支計画書」までもが 黒塗りで提出されてきたのである。
これに対し、市議会で「他の公共施設の指定管理者の収支計画書は公開されているのにこれだけ黒塗りというのはおかしい」と疑問の声が上がった。
そこで市は、他の公共施設(スポーツセンターや図書館、児童センターなど)の指定管理者の収支計画者も一律に黒塗りするという対応に打って出たのだ。

下の写真は 令和4年度市民図書館の収支計画書、これでは 図書館がいくら分の図書を購入したかも分からない
公共施設、それもこの程度の情報を なぜ公開できないのか。
これは事業者が黒塗りにするように希望したのではなく、春日市の判断である。

テノ社の要求を優先したことで、他の事業者の収支計画書まで黒塗りにするという、情報公開の流れに逆行する対応で、あの「大任町」と同じという声が聞こえてきた。



市の判断で公共施設の収支計画書が黒塗りになっている件だが、8月31日の担当課への電話取材では、「これは一時的な措置で 公開する方向で検討しており、テノ社に公開するよう理解を求めていく」という説明があった。
2ヵ月前に取材した時は、「現在情報公開請求の不服審査が行われており、その結果を待って 統一して公開するか このまま黒塗りにするか判断する」としていたので、どうやら方針を転換した様だ。

現在、黒塗りの決定を不服とした市民と 春日市長が 「不服審査会」の場で争っているが、市長は弁明書の中で 黒塗りの判断が間違っていなかったことを主張する一方、市民の反論内容が「反論書の体裁となっていない」などと 強い言葉で全否定している。(下図)

「おやつ代がいくら使われているか知りたかっただけ」の、弁護士でもない 一市民に対し、完膚なきまで論破しようとする文面から、市民から選ばれたという謙虚さは感じられない。

「公開する方向で検討している」のが事実なら、これ以上不服審査会で争う必要はないはずだ。
直ちに 全ての黒塗りを公開し、市民に時間と労力を使わせ、礼を欠く言葉で対抗したことも含めて謝罪すべきだろう。


春日市ともあろう自治体が、一企業の要求を飲んだばかりに 辻褄が合わなくなり 迷走している。
これが 6期24年の長期政権と関係があるかどうかは不明だが、早く正常に戻ることを期待したい。