P社撤退、ツケは市民へ? 柳川市長「交渉中」とするも・・ [2008年1月10日11:39更新]

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(07年12月号掲載) 

閉鎖されたP社化粧品工場旧大和町(現柳川市)が購入した化粧品工場をめぐる問題(本紙既報)で、操業していたP社(大阪市)が07年12月末、完全撤退した。

工場建物にはアスベストが使われていることが発覚、さらには敷地内に廃棄物を埋めていた可能性が高いことが明らかに。しかし契約上では、撤退と同時に「瑕疵担保責任」をP社に問うことができなくなる。

07年12月議会では、石田宝蔵市長が市議らの質問を受け「(P社と)交渉している」などと答えたが、実態は何も進まないまま。改善費用をすべて柳川市民が負担するという事態が現実化しそうだ。



ノラリクラリ・・ 相変わらずの石田市長

 市議 瑕疵担保責任の期限を延長してもらいたい
 市長 延長すべきだと申し入れている
 市議  反応はどうですか
 市長 具体的には進んでない

P社問題を追及する市議とそれに答える石田市長。昨年12月11日の市議会では、こんな答弁が繰り返された。

 市議 市長はこれまで、責任は取ると言ってきた
 市長 そうは言っていない、責任は取らざるをえないでしょう、と言った
 市議 一緒ではないか、市民に言ったことは実行して下さい
 市長 私は逃げも隠れもしない、市民の代表として毅然として相手に対応してきている

ある傍聴者は「市長は相変わらずノラリクラリで、らちがあかない」とため息交じりに語った。 

「本当は二束三文」

旧大和町が約5億4000万円で購入した工場と土地は、建物のほぼすべてにアスベストが使われ、除去するには数億円が必要な上、土壌改良などの費用もかかるとみられる。あるP社関係者は「工場内の土地は一部地盤沈下しているし、別の目的に使うにはアスベスト除去など相当な金が必要。だから、本当は二束三文でとても5億円の価値などない」と話す。

使用目的すらはっきりしない中で購入した土地なのだが、再利用するための費用はすべて市民に押し付けられるか、さもなければこのまま「塩漬け」にするほかない。石田市長は事実上、何の手立ても講じないまま「時間切れ」を迎えようとしている。

そんな時期に、議会でこのようなやり取りをしていること自体、常識では考えられないのだが・・。     

市民が署名活動を開始

「今のままではすべての責任が市民に押し付けられる。黙ってはいられない」。「柳川市民の会」代表の中村暢子さんはこう憤る。

P社の責任追及を求め、市民の会が署名活動を始めたのは12月初め。「石田市長には本気で追及するつもりがない。自分たちでやるしかない」と「P社にアスベスト撤去費用を求める」「徹底した土壌調査を求める」などと訴えている。「市民にはまず、工場をめぐる現状を知ってもらいたい」(中村さん)。

理解不能な市の姿勢

例えば、あなたが不動産屋から家を購入したとしよう。事前には何も説明を受けていなかったが、家屋から致命的な欠陥が見つかった。その時あなたはどうするか?当然「話が違う」と怒り、不動産屋に抗議するだろう。そして欠陥を補修・改善する費用は不動産屋か大家に請求するはずだ。これが、瑕疵担保責任(建物に買主が知り得なかった欠陥などあった場合、売主が責任を負うこと)である。

だが市の対応は「購入した家から欠陥が見つかり怒る買主」とは程遠いものだ。石田宝蔵市長はアスベストが見つかった当初「P社の責任でやらせる」と発言していたがその後「(P社の負担は)120%ない」と方針を転換。その後もノラリクラリと市議会の追及をかわし続けている。

署名活動に賛同が集まれば、それは、「理解不能」な市長の姿勢に対する「抗議の声」ともいえる。 

異常な臭い

P社工場敷地で行われた土壌採取「鼻をつくような化学的な臭い」「尋常ではない」。土壌採取に立ち会った市議らは一様に顔をしかめた。11月1日、P社工場敷地で行われた掘削作業。周囲には異様な悪臭が立ち込めたという(HP既報)

旧大和町との売買契約が結ばれた後、P社は独自に土壌調査を外部に依頼。その結果、約2000㌧の土壌が「改良の必要あり」とされたが、このうちP社は「約500㌧は運び出した」という(百条委での証言)。つまり約1500㌧の汚染土壌はそのまま残されていることになり、掘削作業時の異臭は明らかにこのことを裏付けている。

だが、瑕疵担保責任の期限切れが迫りながら、これまで徹底した調査すらしてこなかった柳川市は「時間切れを待ち、すべて市民に負担させようとしている」と指摘されても仕方ない。 

調査結果は?

今回の土壌調査は、市が「問題なし」とした前回の結果を「信頼できない」とする市議らが主導し、サンプルは以前に「問題あり」との鑑定を出している福岡大学教授に託された。

しかし、ある議会関係者は「(教授の態度はなぜか)前回よりも熱意がないように感じる」と漏らす。本紙発行のころにはすでに中間報告が出ているはずだが「正確なものかどうか怪しいかもしれない」(同)。

教授の鑑定結果は、
場合によっては「問題なし」とする市側にお墨付きを与えるものへと「方向転換」する可能性もある。

【編注】当記事掲載の本紙07年12月号が発行された後、教授による調査の中間報告が行われ、事前に指摘したとおり柳川市側の意向に沿った形の結果が出された(HP既報)