(08年10月号掲載) しかし、主な生息地であるオーストラリアでは約50年前、このクモによる死亡例が相次ぎ社会問題に。政府自らが抗毒血清製造会社を抱え込み、何とか被害を抑えたという。市の情報には、こうした海外での死亡例は記載されていない。 「いきもの研究社」(大阪市)の吉田政弘代表は「毒性はAランク。かなり強い神経毒と言えます。かまれる例が増えれば当然、乳幼児や高齢者らが犠牲になる可能性もある」と指摘する。 また、市の対応については「当局は正確な情報を公開し、ある程度長期間、市民に警戒を呼び掛けるべきです。死者が出てからでは遅い」と話す。 なお吉田代表は9月30日福岡市を訪れ、市役所講堂で講習会を開いている。 こども病院の移転先として、市が人工島を挙げた理由の1つが「公園が近く患者の療養環境として優れている」。アイランド公園が患者や家族らの「憩いの場所になる」と説明してきた。 そんな場所で起きた毒グモ騒動。まるで腫れ物に触るかのような対応ぶりは、人工島のイメージダウンを恐れ「できるだけ騒ぎ立てたくない」という本音を容易に想像させる。だが吉田代表の指摘通り「情報隠し」は被害の増大を招きかねない愚行である。 人工島移転案に対しては患者や医師らが交通アクセスなどの問題から猛反発、「人命軽視ではないか」との批判も根強い。今回の騒動で浮き彫りとなった、市民の安全よりも「移転計画に悪影響を及ぼすかどうか」を優先させる市の姿勢は、この問題の本質を象徴するものと言える。 病院移転をめぐってはこのほど、患者家族らの団体が賛否を問う住民投票条例の制定を求め、約3万2000人分の署名簿を提出。市民の反発はさらに強まりそうな情勢だ。 そんな中、ある民放テレビ局がその報道に関して市幹部の怒りを買い「偏向報道だ」などと非難されているという。 「会見などで突っ込んだ質問をする一部のマスコミに対し、市幹部らが記者や社の名前を出して『あの人はおかしい』と悪口を言って回っています」。こう話すのはある市政担当記者だ。「移転に批判的な報道にかなり神経質になっているようです。局幹部に直接苦情を言ったとの情報もある」。 この局の特集ニュースを見たが、事実を報道しているだけで、偏向しているという印象はなかった。むしろなぜもっと早く放送しなかったのかと、1視聴者として抗議したいくらいだ。 同局の肩を持つつもりはないが、市幹部から「偏向報道だ」などと批判されるということは、逆に胸を張っていいのではないか。彼らが言うところの「公正な報道」とは、自分たちに都合がいい情報をノーチェックで流してくれる「思考停止メディア」の報道に、ほかならないのだから。
福岡市はセアカゴケグモ(写真=福岡市HPより)について「人への攻撃性はなく、素手でさわらない限りかまれない。かまれると針で刺したような痛みを感じ悪化すると発汗や吐き気を発症することもあるが、国内では重篤な症状事例はない」とHPなどで説明する。
本紙はこれまで移転問題について、取得土地面積などの不可解な数字や市当局の説明、議会の対応について報じ「事業の救済こそが病院移転の目的」と述べてきた。同時に、当局の発表を垂れ流すだけの多くのマスコミを批判した。
(写真=署名活動する患者家族ら)
毒グモ 人工島でも発見 福岡市は正確な情報隠す(2) [2008年10月31日09:27更新]
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イメージダウン恐れ!? 人命より事業優先 移転の本質象徴
移転に批判的な報道を「偏向」と非難 市幹部

