福岡市長選推薦問題 揺れる民主県連(1)現職推薦が難航 [2010年8月25日11:04更新]

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(10年8月号掲載)

会見する民主県連執行部のメンバー(8月9日)11月に行われる福岡市長選挙に絡み、吉田宏市長の推薦問題をめぐって民主党県連が揺れている。8月9日に開かれた同県連常任幹事会(常幹)では、現職推薦派に対して国会議員らから批判が噴出、結論は先送りされた。

元佐賀市長の木下敏之氏が市長選への出馬する意向を表明し同党に推薦願を出したことで表面化した「内紛」の背景には、吉田市長への不満だけでなく、同市長を推す市議らへの反発も見え隠れする。

県連は「15日に推薦するかを判断する」というが、ある県連関係者は「次回で決まることはまずない」。最終的には現職推薦に落ち着くと見られるが、県連内部の対立が市長選に大きな影響を及ぼすのは必至の情勢だ。

【編注】本稿掲載後、15日の臨時常幹では結局決まらず。28日の常幹であらためて話し合うことになった。



現職推薦派に批判、紛糾   

博多区のホテルで開かれた民主県連の定例常幹は、予定の時刻を大幅に過ぎて終了した。「各総支部で吉田市政に関する総括をまとめてもらい、それを元に15日の臨時常幹で推薦の可否を判断する」。記者会見した吉村敏男幹事長ら執行部メンバーの表情は、かなり疲れているように見えた(写真)。 

先月の参院選終了直後、元佐賀市長という「想定外の対抗馬」が突然浮上、市長選で現職とどちらを推薦するのか、民主県連の判断に注目が集まった。当初は、吉田市長に不満を持つ国会議員や一部県議が常幹で多数を占めたことから、木下氏推薦の目も十分あると見られていた。

だがその後、県連執行部の要職を務める福岡市議2人が吉田氏から出馬の意志を確認し現職推薦の方針を決定。福岡市の3総支部もこれを支持したことで、吉田氏に決まる公算が大きくなっていた。

 

関係者によると、この日の常幹では2市議が「何とか今日、(吉田氏推薦を)決めてもらいたい」と提案。ところが一部の国会議員が市議を激しく追及、長時間に渡って紛糾したという。 

問題とされたのは8月6日、吉田市長が上京した際、民主党本部で枝野幸男幹事長と会談した一件だ。国会議員から「県連での選考作業中に、しかも単独で幹事長と会うとは何事か」「常任幹事会は何のためにあるのか。手続き、組織の軽視だ」などと批判や怒りの声が噴出、市議側は「誤解があった」などと釈明したという。 

ある国会議員は「公約の進捗状況や党への貢献度の問題はほとんど触れられなかった。このままではとてもじゃないが、15日には決まりそうもない」と語る。 

2つの反対勢力  

吉田氏の推薦問題がここまでこじれた原因は何か。

ある県連関係者は「現職推薦に反対する勢力は2つある。木下氏を担ぎ出したい勢力と、2市議をはじめ執行部に対して不満を持つ勢力。通常であれば地元市議団の意向を尊重するのが当然だが、今回はこの2派が徹底的に争う構えを見せている」と解説する。 

吉田市長に対しては、過去3回の国政選挙で中立の立場を保ったことや、こども病院問題などで「公約違反だ」との声が市民から上がっていることから、一部国会議員の間に批判や不満が渦巻いており「それが木下氏擁立の動きにつながった」(前出県連関係者)。 

(続く)