お粗末な民主・自民 結局「麻生知事の舎弟」に相乗り(2) [2011年3月18日10:33更新]

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(11年2月号掲載)

福岡県庁ではなぜ蔵内勇夫県議は知事候補に名乗りを上げたのか。

当初から小川氏を推しているとされたのは、麻生太郎元総理や北九州市選出のN県議。県連内では特にN県議への反発が強く、そのため昨年末、小川氏擁立がいったん白紙となった経緯がある。

こうしたことから、蔵内氏は、自民に推薦願を出した小川氏の擁立を阻止するために自ら汚れ役を買って出たのでは─との見方がもっぱらだった。 

だが、ある自民関係者は「蔵内氏は、かなり本気だった。要するに知事の座に目がくらんだんだよ」



また前出記者は、蔵内氏を後押しした古賀誠衆院議員の「謀略説」を唱える。

「蔵内氏は古賀氏の地元、筑後市選出。2人は筑南エリアの利権をめぐって反目し合っている。蔵内氏が知事選に出れば地元から目の上のコブが消える。出馬を止めれば、彼を支持した県議連中から愛想を尽かされ、県連内での影響力は確実に低下する。どっちに転んでも古賀氏の狙い通り、蔵内氏の力は削がれることになる」 

結局、自民は独自候補を擁立できず、いったん推薦願をはねつけた小川氏の支持に回った。「かつての自民なら考えられない。あまりにお粗末、話になりませんね」(前出記者)。

小川氏相乗りはシナリオ通り!?    

既存政党の凋落ぶりをあらためて浮かび上がらせた感のある今回の騒動。だがある選挙通は「民主・自民の小川氏への相乗りは、一部関係者のシナリオ通りだったのではないか」と指摘する。

「実は、小川氏擁立の裏にK元県議の影がちらついている」 

K元県議は06年の福岡市長選、そして07年の知事選で民主擁立候補の選対本部長を務めた人物である。

「彼はかつて麻生元総理の秘書だったことから自民にも人脈がある。さらに民主の辣腕、S県議とも近い。K元県議を通じて民主・自民両党が裏でつながっていた可能性は十分にある。実際、民主で小川乗りを主張したのはS県議とその一派だからね」(選挙通)。 

いずれにしても、小川氏という「麻生県政の継承者」に相乗りすることで、両党は戦いを避けることができるわけだ。それはS県議ら一部関係者や財界などの思惑通りであることは間違いない。 

「元通産官僚で麻生知事そっくりの経歴を持つ小川氏は、知事の言うことなら何でも聞く“舎弟”のようなもの。当選した暁には、知事は県の外郭団体などに天下って悠々と高額の報酬を受け取りながら、小川氏を遠隔操作することになるでしょう」(前出記者)。

本紙は先月号で麻生知事の再登板を目論む勢力があることを報じた。結果的にはそれと同じか、むしろ悪い事態と言えるかもしれない。 

 

小川氏を支援しているのは麻生知事をはじめ財界や連合など。これに民主・自民などが「支持」という、表面的には「消極的」な形で乗っかる構図となりそうな今回の知事選。

小川氏陣営は今後、1度は民主・自民両党に推薦願を出しておきながら、前回の麻生知事同様、「県民党」を自称すると見られる。