(09年4月号掲載) 市民らは「前所有者は産廃の存在を知っていた可能性が高く、取引前に知らせなかったのは不法行為。もし県に落ち度がなければ、その責任を追及するべきだ」などと主張。県を相手取って住民訴訟を起こすことを検討している。 (☆4月号発行後、市民の会は福岡地裁に住民訴訟を起こした=関連記事) 「監査委員会の決定は納得いかないが、想定の範囲内。今後は法廷で争うことも視野に入れていきたい」。「リサーチパーク問題を考える前原市民の会」の加納義郎代表はこう話す。 前原RP用地に産廃が埋められていることが発覚したのは07年末。九大学研都市構想に関連し、福岡県が県有地とA社(福岡市)が所有していた土地とを等価交換して取得した前原市の土地から、基準値を上回るヒ素などが検出された。 ところが08年3月、公文書などから産廃埋設の情報を県が事前に把握していたことが判明。さらに「等価交換はA社側への便宜供与ではないか」などと議会で追及される事態となった。 県側は「不法投棄は知らなかった」「等価交換の手続きは適正だった」「損害が生じたとは思わない」などと答弁。一方、麻生渡知事は「損害が確定すれば賠償請求する」と答えていた。 今年1月、同会が住民監査請求を提出。監査委員会が検討する過程で、県はすでに昨年11月、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求書をA社に送付していたことを明らかにした。だが県はこの事実を公にしていなかった上、請求額やその根拠などの詳細についても「相手方と協議を進めている段階であり、それに多大な影響を及ぼす」として、いまだに一切公表していない。 「相手方と協議して賠償額を決めようとする県の対応は異常。少なくともA社側は、産廃の存在を事前に知っていた可能性が高く告知義務違反に当たる。明白な不法行為で、これに基づいて賠償請求するべき」。加納代表はこう指摘する。 監査委員会は、今回の土地取引で生じた損害は「瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求などを行うのが妥当」とした上で、「瑕疵担保責任は、買い主が瑕疵がなかったと信頼したことにより失った利益(=信頼利益)に限ると解されており」「最終的な賠償額は当事者間の協議もしくは裁判によって確定せざるをえない」(結果報告書より)と、協議によって賠償額を決めようとする県の行為を認めている。 一方、加納代表らが主張するA社の不法行為責任については「産廃埋設に対する認識がどの程度であったかを確認すること」ができず「不法行為責任に基づく損倍請求権の有無については判断できない」(同)。 だが・・。 産廃埋設が分かった直後、県はこの問題について顧問弁護士と相談している。 ◎県企画調整課が作成した文書 ☆法律上の問題点 県側(環境部)もA社側も事前に産廃埋設を知っていたと、県自らが公文書に記しているのである。 もしA社の不法行為責任を問い、産廃の撤去費用などを請求すれば当然、「県も同罪ではないか」と反論されるだろう。 かといって何もしなければ「賠償請求する」と答弁した麻生知事の立場がない。A社の瑕疵担保責任を問う形にすれば信頼利益に限定され、賠償額は相手の意向を踏まえて決めることができる。 これが、A社との「秘密の協議」の裏に隠された、県の本音ではないか。そうであればとんだ茶番劇である。 「県が本当に事前に何も知らず、A社側と特別な関係がないならば、堂々と賠償請求できるはずだ。一連の土地取引などが不適切だったことの証拠に他ならない」(加納代表)。 前原RP用地は県民の財産。それを一体何だと思っているのか。責任の所在をごまかし、そのツケを県民に負わせようとする県のやり方を、断じて許してはならない。
福岡県が取得した土地から産廃が見付かった前原IC南地区リサーチパーク(RP)問題。「発覚から1年以上経ったのに、県が前所有者に何ら賠償を求めていないのは不当だ」とする前原市民の住民監査請求について、県監査委員会はこのほど「県はすでに瑕疵担保責任に基づく賠償請求をしている」などして棄却した。
「法律相談依頼票」 (提出日07年12月26日、写真)
平成12年当時の土地所有者からの嘆願書により、県環境部は不法投棄の事実を認識していたこと。
監査請求は棄却 市民は訴訟を検討 前原RP問題 [2009年4月27日09:42更新]
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協議は茶番劇だ

