馬脚現した鹿児島・伊藤県政(1)基本計画発表も記者会見行わず [2010年3月3日09:44更新]

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(10年2月号掲載)

冠岳(鹿児島県)から見た産廃処分場建設予定地これまで本紙が報じてきた鹿児島県(伊藤祐一郎知事)が同県薩摩川内市で進めている産廃最終処分場建設の問題。昨年秋にも決まるはずだった基本計画が1月、ようやく発表された。

だがこの日は、県知事や担当者が「不在」のために記者会見は行われず、一部マスコミから「異常な対応だ」と怒りの声が。

さらには地元自治会に交付する支援金について「反対する自治会には出せない」との方針を県が明らかにしたため、予定地周辺の反対派住民らが「札びらで顔を叩くような行為だ」と激しく反発している。

当初は「十分な説明をする」と計画実現へ自信を見せていた伊藤知事。本紙はその選考過程やずさんな調査内容に疑問を呈してきたが、ここへ来て伊藤県政はまさに馬脚を現した─と言えそうだ。



発表当日「知事も担当課長も出張」 

この計画は、鹿児島県が薩摩川内市川永野地区の採石場跡地(写真上、地図参照)に産業廃棄物管理型最終処分場を建設するというもの。06年から候補地の選定を開始、07年に同跡地を選び、今年1月15日に基本計画を発表した。 

鹿児島のあるマスコミ関係者によると、基本計画が発表されたのは同日午後。何の前触れもなく資料だけが県政記者クラブに投げ込まれた。担当課は「課長も知事も出張で不在。取材対応はできない」として会見を行わなかったという。 

このため各社の取材は現地の担当部署に集中し、対応しきれない状態になったという。

「このような重要な案件を資料配付だけ、会見なしで済ませるなど極めて異常な対応だ。特にテレビ各社は、夕方のニュース前だったために大慌てで、『県はわざとこの時間帯を選んだのではないか』と怒りを露わにする記者もいた」(前出マスコミ関係者)。 

 

伊藤知事は候補地を発表した当初「内容等について十分に説明させていただければありがたい」「情報公開は完璧にやります」と明言している(07年5月8日の定例会見=同県HPより)

今回のマスコミ対応を見る限り、知事は自らの言葉を忘れてしまったのでは─と言わざるをえない。

地元への支援金、振興策に住民ら反発「買収だ」  

「お上の言うことを聞かない“不届き者”の顔を、札びらで叩くような行為ですよ」。こう言って憤るのはある反対派住民だ。 

鹿児島県は基本計画発表後の1月18日、処分場建設に伴う地元振興策について薩摩川内市議会特別委員会で説明。各自治会への活動支援金計3億円を10年度当初予算案に計上する方針を明らかにした。

同時に、支援金は処分場建設に同意し協定を締結した自治会に支給するとも発言。一部の市議から「条件付きは買収と同じだ」と批判する声が上がったという。 

(続く)