異常事態にも市は「適正だった」(2)仲卸業者は刑事告訴も検討 [2009年7月8日10:16更新]

タグで検索→ |

noimage

(09年6月号掲載)

鮮魚市場(福岡市長浜)の正門中央魚市場の仕入れ先については最初からX氏がA社を指定、実際に取引を担当したのはB社の社長だった。また08年10月までは、中央魚市場が仕入れるマグロはX氏がA社事業所の冷蔵庫から出し入れしていた。そのため、中央魚市場は商品の確認をしていなかったという。 

取引が破綻した後の4月1日、X氏とB社長の2人で喜平商店を訪れ「2人で架空取引をしていた」と謝罪したという(下図参照)。



福岡市は鮮魚市場の開設者であり場内の業者を監督・指導する立場にある。だがその権限は市場外の業者には及ばない。

そのため本紙が「架空取引ではなかったのか」と質問しても「市場内の取引は適正だった。だが市場外も含めた正確なところは分からない」 

B社などから事情を聴くことができない以上、市の調査による実態解明など望むべくもない。

架空取引の相関図

 

他の業者の関与は  

「一体誰がこんな取引を考え、なぜ始めたのか」。岩永仲卸の関係者はこう言って怒りをぶちまける。 

今回の架空取引ではマグロは最終消費者へ届いておらず、帳簿上は売上高・利益が増えていても本当の意味での利益は生じていない。いずれは誰かが支払うことができなくなり、取引が破綻することは明らかだ。 

少なくともX氏とB社長は、実態を知っていた。ではほかの関係者、特に中央魚市場はどうなのか。 

ある関係者は、X氏を問い詰めた際に「魚市場もたぶん架空取引を知っていたと思う」と答えた、と証言。またB社側も、岩永仲卸へ送った文書の中で「継続的に、かつ大量・多額の取引に加わっていた魚市場が、本件取引を正当な取引と考えていたとは到底思えません」としている。(5月号既報)  

市は「中央魚市場や仲卸2社は通常通りの取引として認識しており、架空取引などの不正を疑う余地はなかったと考えられる」としているが、その根拠はあくまで本人たちの自己申告。先述の理由で結局、真偽は不明と言うほかない。

嵐の前の静けさ?

架空取引が破綻した後、喜平商店は休業し、自己破産申請の準備を進めているという。一方で不正に関与したB社は、現在も通常の営業を続けている。 

10億円を超える巨額の未収金が発生した上に、老舗仲卸業者が倒産するという結果を招いた今回の架空取引疑惑。だがこれほどの事態になりながらも、鮮魚市場は驚くほど静かである。 

「このままではだまされ損。市の調査があてにならないのなら、他に方法はない」。岩永仲卸の関係者はこう語り、刑事告訴に踏み切ることを検討している。 

鮮魚市場を覆っているのは「嵐の前の静けさ」なのかもしれない。