福岡市スポーツ協会のホームページには、市内のスポーツ施設を利用する際の注意書きとして「刺青・タトゥーがある方は、トレーニングウェアやテーピング等で見えないようにしたうえでの利用をお願いします。」と書かれている。
つまり、刺青・タトゥーは 隠さないと利用できない。
ホームページにその理由までは書かれていないが、一般的に「周りの方に『威圧感』を与えてしまう恐れがあるため」と解されている。
ところで、Youtuberとして若者に人気のある「レペゼンフォックス」というグループをご存知だろうか。
なかなかユニークなキャラクターではあるが、今どきの若者らしく(?)メンバー全員タトゥーを入れている。
手の甲、指、腕、首、顔、足、中には全身の者も。
それはそれで 好きにやって頂いて結構だが、彼らが市役所の会議室にタトゥーを隠さず入って来たのには驚いた。
乱入ではない。
高島宗一郎市長が彼らを会議室に招き入れ、ミュージックビデオの撮影で共演しているのである。
彼らの福岡愛に溢れた歌詞は面白いし、「若者の支持があるグループと共演することで、福岡以外の若者たちに福岡市に関心を持ってもらい、遊びや買物、学んだり働いたりしてほしい」という未来を想う市長の狙いも分からないではない。
しかし、マイナスの影響もある。
一口にタトゥーと言ってもいろいろ、周囲の受け止め方はそれぞれで異なり、嫌悪感を示す年配の方は多いだろうし、恐怖心を抱く子どもや女性も少なくない。
刺青・タトゥーは法的に禁止されている訳ではなく、温泉や銭湯などでは 経営者の判断で利用制限をしているだけである。
一方、法的に禁止されていない以上、公の施設は拒否することができない。
できるのは「隠して利用してください」というお願いだけ。
市長が市庁舎にタトゥーを隠さないメンバーを招き入れ共演したことで、もともと曖昧な「威圧感」という言葉は意味をなさなくなってしまったのでは。
これからは、スポーツ施設をはじめ 公共施設内に刺青・タトゥーを隠さない人が入ってきても注意しにくくなる。
そのうち管理者が注意しても耳を貸さず、逆に法を笠に権利を主張してくることも考えられる。
福岡市の公共施設においては、刺青・タトゥーを隠さなくてもよくなる日がくるかもしれない。
Repezen Foxx「福岡事変 ー極みー」