(08年10月号掲載) 「麻生太郎氏の首相就任直後にも」とされていた衆議院の解散・総選挙は、米国発の株価下落が世界的規模となり「景気対策を優先する」との意向を麻生首相が示したため、先延ばしとなりそうな様相を呈している。 だがすでに各陣営は「11月末総選挙」を想定し事務所を開設。集会や街宣活動を行うなど「Xデー」をにらんで走り始めている。 派閥の領袖など自民の大物現職が多い福岡。舌禍事件で大臣を辞任したり政権交代を目指す民主党の標的とされるなど、有権者の「自民離れ」とあいまって、本紙既報通り一部の議員にとっては極めて厳しい状況が予想される。 10月4日、福岡市西区愛宕。報道陣が見守る中、太田誠一氏(福岡3区)の選挙事務所で神事が行われ、多くの支持者が訪れた。8月、福田康夫改造内閣で農水大臣に就任した太田氏。だがその直後、事務所費問題などのスキャンダルが大々的に報じられた上、事故米の不正流通問題が追い打ちをかけた。 この件に関して「農水省はあまりじたばた騒いでいない」という太田農相の発言が問題となるなど、責任論が浮上。9月19日、「食の安全に対する国民の不安を招いた責任を取る」として辞表を提出、受理された。 すでに地元で集会などを開いている太田氏。28日の国政報告会(糸島郡)では「なぜかマスコミに嫌われてしまった。私の言い分が世の中に通らない」と報道を批判。また街宣した際には事故米問題について「5年前のことだから(当時は農相ではなく)物理的には自分に責任はない」と言い訳したという。 「実は、選対での事前の打ち合わせで『有権者の前ではマスコミ批判や言い訳はしない、今後の農業・水産業の政策について重点的に話す』と決まっていた」と話すのは同区担当のある記者だ。「なのに、いざ人前に出ると批判と言い訳のオンパレード。選対内部でも『もうどうにもならん』との声が上がり、半分サジを投げている状態です」 民主・小沢一郎代表が多くの報道陣を引き連れて八女市入りしたのは9月25日。7区の予定候補者を差し替え、同市長の野田国義氏の擁立を決定したことを発表するためだった。 同区は自民選対委員長、古賀誠氏のお膝元。そのため小沢氏は「最重要選挙区」と位置付け、野田氏が古賀氏の元秘書だったこともあって、一挙に全国的な注目を集めることになった。 現在、古賀氏陣営は地元の各首長に支援を要請し、次々と選対幹部に取り込んでいる。だが「面従腹背の人もいるのでは」(自民関係者)との懸念も根強い。 一方、地元保守系県議らには「離反」の動きが見られるなど、選挙全体の責任者であるにもかかわらず足元がふらついている状態だ。 「活かす」。福岡2区のベテラン、山崎拓氏のポスター。議員生活12期の実績をアピールするが、ある有権者は「今さら・・という感じですね」と素っ気ない。 民主の対抗馬は、昨年の知事選にも立候補した稲富修二氏。出馬表明してから約1年、ミニ集会や街頭演説など地道な活動を続け、すでに1000枚以上のポスターを貼り終えた。 日ごとに増えていく稲富氏のポスターに対抗し、山崎陣営も同じくポスター1000枚を貼った。だが「これまでの支持者から断られることもあった。有権者の反応は、想像以上に厳しい」(陣営関係者)。 党による世論調査では稲富氏の優勢が伝えられており、陣営の危機感はかつてないほどに高まっている。 原油価格高騰による燃料や物価の上昇、後期高齢者医療制度などへの反発、圧迫される市民生活・・。批判の矛先が向いている自民党にとって、今回の総選挙が厳しいものとなるのはまちがいない。 だが福岡におけるマイナス要素は、それだけではない。自民福岡県連会長ポストをめぐって生じた国会議員と地元議員の対立。先月の自民総裁選では、かねてから麻生氏との反目が伝えられる山崎氏、古賀氏らも早々に麻生氏支持を打ち出した。「選挙が近い以上、地元議員と歩調を合わせるのが得策と判断したようです」(大手マスコミ記者)。 だが両者の間に生じた亀裂は依然深い。表向きは支援を装いながらも実際には動かないなどの事態がありえるだろう。 早ければ11月末にも行われる見通しの総選挙。これまで本紙が予想した通り、大物議員の落選が見られることになるのだろうか。
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各陣営事実上スタート 衆院選へ向け集会・街宣始まる [2008年10月27日08:34更新]
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